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ホークラックス - 2012.02.08 Wed

フィニアス・ナイジェラスの情報によって、ハリー達がディーンの森にいることがわかると、ダンブルドアは、スネイプ先生にグリフィンドールの剣をハリーに与えることを命じました。
「必要性と勇気という二つの条件を満たした場合にのみ、剣が手に入るということを忘れぬように―さらにそれを与えたのがきみだということを、ハリーは知ってはならぬ!」(7巻33章p.455)という条件を示して。
一方的に指示するダンブルドアは、「それで、この剣をポッターに与えることが、なぜそれほど重要なのか、あなたはまだ教えてはくださらないのですね?」(同)とスネイプ先生に聞かれても「そのつもりは、ない」(7巻33章p. 456)とにべもありません。

ダンブルドアがハリーには教え、スネイプ先生に対しては頑ななまでに教えなかったのは、ホークラックスに関すること全てでした。
ホークラックスになっている物質の話題の時は、核心に触れるのを悉く避けています。
ハリーが死ぬことでヴォルデモートも破滅する、という最終目標は告げておきながら、その過程にある、ヴォルデモートの魂が宿るホークラックスの破壊のことも、それ以前に、魂が分割されて幾つかの物質の閉じ込められていることについても、全く説明を省き、話を逸らしているのです。
スネイプ先生は、ホークラックスについて何も知らなかったのでしょうか。
スネイプ先生がホークラックスに関わる場面を探してみました。

ハリーに託した記憶内で、指輪にかかった呪いが異常に強いものであったことを見抜いたスネイプ先生ですが、「指輪を割れば、呪いも破れると思ったのですか?」と剣と指輪を見ながら聞いています。
ホークラックスは、ひとりでに回復できないほど強い破壊力を持ったものでないと破壊されません。バジリスクの毒やその毒を吸収したグリフィンドールの剣、悪霊の火などがそれにあたります。
スネイプ先生はまさにその破壊力を持った剣とホークラックス自体を、この場面で目にしているのですが、指輪に込められた魂ではなく、その魂を狙うものを遠ざける呪いの方に注意が向いています。

ハリーに情報を与えて自分には情報をくれないとスネイプ先生が不服を訴える場面では、閉心術ができないハリーのことを話題にしているのにダンブルドアは魂の話を持ち込み、「魂?我々は、心の話をしていたはずだ!」7巻33章p.447)とスネイプ先生は抗議しています。
やはりヴォルデモートの魂が、分割し損傷されているとは知らないように見受けられます。

どちらの場面からもホークラックスを知っていそうな気配は私には感じられません。やはり知らなかったのでしょうか。
図書館にあったホークラックスに関する本は、ダンブルドアが全て抜き取り、保管していました。おそらく、かつてリドルがその本を読んだ後に。
セブルスはリドルの後の時代の学生ですから、いかに勉強熱心で本好きであっても、無い物は目にする機会はないし、耳にしたことのないことは調べようと思うはずもありません。
けれど、スネイプ先生と同じ寮でシリウスの弟、年下(1961年生まれ)のレギュラス・ブラックは知っていました。

7巻10章のクリーチャーの話によれば、レギュラスは16歳で死喰い人に加わり、その一年後にクリーチャーをヴォルデモートに差し出し、クリーチャーが帰ってきてしばらく日が経ってから、偽のロケットに手紙を入れたものを持って洞窟に向かい、そして薬を飲んで水に引き込まれ命を落としました。
17歳か18歳だと思われます。図書館に参考となる本が無いのはセブルスと同様なのに、多分まだ卒業すらしていないレギュラスが、なぜホークラックスのことを突き止められたのでしょう?

同じ疑問を持った人が、ローリングさんに質問した際、ローリングさんは、ヴォルデモートがかつて(4巻で)ハリーにほのめかしたように、レギュラスの前でも不死を実現させるものの存在をほのめかしたというようなことを話しています。傲慢な彼は、その話を理解するほど賢い人がいるとは思わなかったと。

ヴォルデモートは確かに、ハリーにかけようとした呪いが跳ね返った後、「霊魂にも満たない、ゴーストの端くれにも劣るものになった」「だれよりも深く不死の道へと入り込んでいたこの俺様が」「おまえたちは、俺様の目指すものを知っておろう―死の克服だ」「俺様の実験のどれかが功を奏したらしい」「俺様は死ななかったのだ」(4巻33章p.453)などと今になってみればホークラックスのことだとわかる話をしています。しかも、何人もの死喰い人の前で。

そんな話を17歳かそこらのレギュラスに話したのなら、たいして歳の違わないセブルスに話してもおかしくないと思うのですが。
後にヴォルデモートの右腕的存在なってからは、「賢い男だ」と評しているスネイプ先生に対して、万が一の用心のために話さなかったかもしれませんが、若いころなら、話したと考えてもおかしくないと思います。

レギュラスがヴォルデモートの不死の秘密を探る際、図書館には参考となる本はなかったでしょうが、高貴なる由緒正しきのブラック家には、そういった本もあった可能性が高いと思われます。
一方セブルスもまた、入学時、既に7年生の大半より多くの呪いを知っていたとのことですから、レギュラスと同じ情報を得れば、好奇心旺盛なセブルスならそれが何を意味するか、図書館以外の場所にも答えを求めて出かけていきそうです。
また、母親のアイリーンは、リドルと同じくらいの世代と思われ(プリンスの本が6巻時点で50年ほど前に発行されたものだったことから)、アイリーンなら図書館でリドルと同じ本を目にした可能性もあり、健在だったなら、何かしらのヒントは聞くことが出来たかもしれません。
それに、6巻で闇の魔術に対する防衛術の授業を担当した時、闇の魔術について、愛撫するかのように話したスネイプ先生が、この闇の魔法を全く知らなかったとは私には思えません。
スネイプ先生は、ホークラックスのことを知っていたかもしれない、という気もしてきます。
もしかしたら、スネイプ先生は知らない振りをして、ダンブルドアが自ら進んで打ち明けてくれるのを待っていたのかもしれません。

<2/11追記>
いただいたコメントにお返事しようと6巻を読み返すうち、ダンブルドアとハリーの、ホークラックスに関する重要な話し合いを、校長室の肖像画たちがはっきり聞いてしまった部分に気付きました。しかも、魂を七つに分けるという部分まで。
これを後に校長となったスネイプ先生の前で話題にしないとは思えません。
肖像画には現職校長に仕える盟約がありますから、ダンブルドアの口止めもあまり意味をなさないような気がします。(しかし、どう見ても肖像画のダンブルドアが現職のスネイプ校長に仕えているようには見えませんが)
やはり、スネイプ先生にとっては、ダンブルドアが教えないことの内容よりも、教えてくれないこと自体が問題だったように思います。
このことは、ダンブルドアがなぜ教えようとしなかったも含め、次回、もう少し考えてみるつもりです。(答えは出ないかもしれません)

● COMMENT ●

知っていたのでは...

みかんです。 かなりお久しぶりです。

ホークラックスですが、スネイプ先生はその存在やそれがどういうものなのかは、それなりに知っていたと思います。  闇の魔術にあれだけ詳しいのですから...
確かに図書館の本は抜き取られてしまっていましたが、スラグホーン先生はその本を読んだだけではわからない、魂を分割することについても知っていました。
それはリドルが図書館の本を読んでもわからなかった事です。 スラグホーン先生がそれを知っていたのは、図書館の本以外にホークラックスの事を知る手段はあるという事だと思います。
そして、リドルが分霊箱をつくったかどうかについては、だんだんとその事に気づいていったのではないかと思います。
まず、ハリーにかけた呪いが跳ね返った時「霊魂にも満たない存在」にリドルがなりましたが、そのときほとんどの人はリドルが死んだと思っていました。スネイプ先生はダンブルドアからリドルが死んではいない事を聞かされていたので、頭の良い先生は、どうして死ななかったのかという事を時間をかけて考えれば、分霊箱の存在に気づいたのではないでしょうか。 それにダンブルドアが指輪をグリフィンドールの剣で破壊したのも知っている訳ですから、分霊箱について、浅い知識しかなかったとしてもきっと気づいていることでしょう。 先生は「賢い男」ですから。
それからダンブルドアも分霊箱のことは、何もなければスネイプ先生に教えるつもりはなかったと思いますが、絶対ではなかったと思います。
なぜなら、6巻で洞窟からかえった時、ハリーに「セブルスを起こしてくるのじゃ、何があったかを話し、ここに連れてくるのじゃ」みたいなことを言っています。 結局、そうはなりませんでしたが、もしハリーがスネイプ先生を起こしに行っていたら何があったかを話していたのですから、「分霊箱を探しに行った」と言ったかもしれません。もちろんダンブルドアから分霊箱のことは口止めされていましたが、このような状況で「何があったかを話し」と言われたのですから、ハリーが分霊箱の事を先生に伝える可能性は十分にあったと思います。

スネイプ先生はだいたいの事はわかっていたと思います。 ダンブルドアもそれは気づいていたかもしれません。  でも先生は最後までダンブルドアの口から教えてもらいたかったのですね。  ちょっと可哀想だけど、そんなところがかわいくてたまりません。

スネイプ先生ほどの人ですから、きっとホークラックスの知識はあったと思いたいです。

レギュラスに関しては、両親からかわいがられていたようですし、闇の魔術に関しても本に載っている話だけではなく、語り継がれているような話も聞いたことがあったのではないかと思います。
セブルスの場合は、ハーマイオニーのように本から知識を得ていたような気がします。
私のイメージでは幼い日のセブルス少年は母親とはあまり会話をせず一人部屋にこもって闇の魔術にどっぷりつかっていったように思います。

高貴なる由緒正しきと言えばマルフォイ家はどうでしょう。
自分に託された日記がホークラックスとも知らず間抜けなルシウスでしたが、学生時代は監督生、知識としてはあったかもしれません。
学生時代やデスイーター時代にルシウスからセブルスに教えることがあったかもしれません。

ヴォルデモートが失脚してもべラトリックスのようにいつか必ず復活すると信じていたデスイーター達の中にはヴォルデモートがホークラックスを作っていることに気付いていた者もいたかもしれません。
スネイプ先生はヴォルデモートが復活するであろうとダンブルドアから聞かされるまで、闇の帝王はいなくなったと思っていたようですから、この時点でヴォルデモートがホークラックスを作っていたとは考えていなかったように見えます。

闇の魔術にどっぷりつかってはいたものの、愛を知っているスネイプ先生には殺人によって作られるホークラックスには関心がなかったとも考えられます。
破れぬ誓いのシーンでもベラトリックスに「行動を起こすときになるとうまくすり抜ける」と言われているので、デスイーターとしてのスネイプ先生は殺人を黙認することはあっても、直接には手を下すことはなかったのかもしれません。
リリーにマルシベールの闇の魔術を「冗談」と言っていましたが、セブルスの中ではそういうのは冗談で、ホークラックスのような魔術こそが邪悪だったのかもしれません。
ちょっと試してみようなどと遊び半分のマグル殺しなどは絶対にしないと思います。
純血主義のヴォルデモートの考えに賛同して仲間になったというよりも、強いもの、権力に憧れてデスイーターになったような印象を受けます。

校長になってからのスネイプ先生はホグワーツの生徒を守ることや任務に忙しかったと思いますが、ハリーが姿を消して何をしているのか、ハリーに託されたダンブルドアの任務が何なのか、気にならなかったでしょうか。
グリフィンドールの剣をハリーに渡し、ハリーがその剣を何に使うのか、見届けようとは思わなかったでしょうか。
もし、二本のナラの木から場所を変えて、ロンとハリーを見守っていたとしたら、ダンブルドアの机にあった指輪と剣の意味も理解したと思うのですが。

またまた長文すみません。

>みかんさん

みかんさん、お久しぶりです。

そうですね、スネイプ先生は、『ホークラックス』というもの自体は知っていたのではないかという気がします。
学生セブルスはともかく、教授となってから、図書館の本からしか知識を得ないとは考えにくいですものね。
リドルが作っていて、ハリーが破壊していかなければならないということまではわかっていたかどうか、私には判断つきかねますが。
指輪の時の反応が今一つ鈍い気がするのですが、ダンブルドアにかかった呪いに気をとられて(何しろダンブルドアの命を脅かすほどのものだったので)、後になって「あれはもしや?」と思い当たったかもしれません。
一方、やはりホークラックスを誰かが現実に作り出すという発想などスネイプ先生には皆無で、指輪とそれとが結び付かなかった、という気もします。
いずれにしても、魂を二つに引き裂く以上のことをした魔法使いはいまだかつていない、とダンブルドアが言ったように、そんなにいくつもあるとは思わず、ハリーがやるべきことがいくつかある様子なのがスネイプ先生には理解できなかったのではないかと思います。

と、ここまで書いて、校長室の肖像画達はハリーとダンブルドアがホークラックスを探していることをバッチリ聞いてしまったことを思い出しました。
となると、校長となったスネイプ先生にそのことを黙っているだろうか?という疑問も生じます。
ダンブルドアが口止めしたとは十分考えられるものの、肖像画は現役の校長に従うという盟約があったので、立場的にはスネイプ先生の方が強いように思うし。でも肖像画に従っているのはスネイプ先生の方のような気もするし…。よくわかりません。一応記事にはあとで書き足しておきます。

ダンブルドアは分霊箱について話すつもりが絶対なかったわけではない、6巻で「何があったか話せ」と言った、というのはなかなか説得力がありますね。
でも、口止めしていたハリーが分霊箱のことまで含めて何があったか話すと想定していたかどうかは、ちょっと疑問ではあります。
ハリーはスネイプ先生がダンブルドアに信用されていることに嫌悪感を持っていたし、後に(7巻で)グリフィンドールの剣が偽物とすり替えられていたのをスネイプ先生が知らなかったと思い込んだハリーが、「スネイプは完全に信用されていたわけではなかった」と喜ぶ場面があります。やはり自分にだけ話してくれたような重大な秘密まではハリー自身が口にしたくなかったと思うんです。そして、ダンブルドアもそこまで見抜いていたのではないかと思え、ここではあくまで、学校の上に闇の印が上がったことのみを知らせるように言ったのではないかと思います。

いずれにしても、ダンブルドアの口から話してもらいたかったことには違いなく、それは最後まで叶えられなかったところが、残念です。

みかんさん、コメントありがとうございました。
コメントいただいたことで改めて考え直す部分も多く、ご意見とても参考になりました。

>songさん

songさん、コメントありがとうございます。

やはりスネイプ先生ほどの人がホークラックスについて知識のかけらもないとは思えませんよね。
ブラック家やマルフォイ家などの由緒正しい家柄であっても、他人を殺して自分の命を長らえるということは推奨されないように思え、そうそう語り継いでも来ない気もしますが(2巻でボージン・アンド・バークスでドラコのことを「泥棒、強盗よりはましなものになって欲しい」とルシウスが言っていたし)、やはり知識の一つとして持っていそうな気もします。ヴォルデモートはマグルの孤児院で育って、魔法界のことを何も知らない状態からスタートしたわけで、何代にも渡って語り継がれてきたような魔法の世界では当たり前のようなことを最近になって知って、自分だけが知っている、と思うようなところはきっとあったと思います。

4巻で蘇ったヴォルデモートがホークラックスをほのめかした時、それをデスイーター達は「理解できなんじゃろったろう」とダンブルドアが言っているので、やはりそうだったのかな、と思う反面、そんなに純真だったか?という気もします。
理解できるような明晰な頭脳はない、という意味ならわかりますが、そういう意味ではなくヴォルデモートが突出した悪のような言い方に思えます。
でも、かつて本を書いた人がいる以上、ヴォルデモートだけがその魔法に魅入られたわけではないし、デスイーターの中にもホークラックスの知識があってヴォルデモートのほのめかしから気付くことがあっても良さそうですよね。

> デスイーターとしてのスネイプ先生は殺人を黙認することはあっても、直接には手を下すことはなかったのかも
そうであって欲しいです。私のイメージの若セブルスは、レギュラスやドラコに似ています。虚勢を張って、闇の魔法を知り尽くしているように見せても、他人の命を奪おうなどという発想は無い人。ヴォルデモートの前で忠誠を示す必要があって(ドラコのように)、うまくすり抜けられずに本当に殺さなければならない場面はあったかもしれませんが、先生は激しく傷つき後悔したと信じています。

> 純血主義のヴォルデモートの考えに賛同して仲間になったというよりも、強いもの、権力に憧れてデスイーターになったような印象を受けます。
同感です。ヴォルデモートの邪悪さを、よくわかっていなかったのではないかと思います。単に強い、カッコイイ存在としてしか見ていなかったように思えます。

> もし、二本のナラの木から場所を変えて、ロンとハリーを見守っていたとしたら
おしゃる通り、スネイプ先生はその剣が何に使われるか知りたかったのですから、その用途を見届けて当然ですよね!
あの場面、スネイプ先生がその場にいたかも、ということは考えたことなかったです。
ナラの木から離れてもどこかハリーが見える場所に、あるいはどこかに移動しなくても、目くらまし呪文でそのままその場に居続けることもできたかも。
もし、その場面を見届けたとして、剣の用途がわかったとしても、その後もやっぱりダンブルドアには同じ質問をし続けたのではないか、という気がしています。

songさんのご意見もとても参考になりました。
お聞かせ下さってありがとうございました。


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