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2017-11

責任の所在 - 2010.03.05 Fri

丘の上の次にハリーが立ったのは、ダンブルドアの校長室でした。
そこでハリーは、椅子にぐったり前屈みになって座り、嘆くセブルスの姿を目にします。

「あなたなら……きっと……あの女(ひと)を……守ると思った……」(7巻33章p.436)
と切れ切れに言うセブルス。浅い息遣いの中、やっとのことで絞り出した言葉のようです。
ちょうどハリーが、シリウスの死をスネイプ先生のせいにして、自分の罪悪感を和らげたように、この時のセブルスも、ダンブルドアの責任として苦しみを和らげようとしているように私には見えます。
しかしダンブルドアは、リリーとジェームズが間違った人間を信用したからだと言い、さらに、セブルスも同様だったとして、ヴォルデモートがリリーを見逃すと期待していたのではないか、と指摘します。
自分の責任を再認識させられ、セブルスはとても苦しそうでした。

リリーたちを守る代わりに何をくれるのかと訊ね、それに対して「何なりと」という答えまで得ておきながら、この返答は何でしょう?あまりに無責任ではないかと感じさせるダンブルドアの言葉でした。
もっとも、ダンブルドアが何の努力もしなかったとは思っていませんが。

3巻にこのような記述があります。
「ポッター夫妻は、自分たちが『例のあの人』につけ狙われていると知っていた。(中略)スパイの一人から情報を聞き出し、ダンブルドアはジェームズとリリーにすぐに危機を知らせた。二人に身を隠すよう勧めた(中略)ダンブルドアは『忠誠の術』が一番助かる可能性があると二人にそう言ったのだ。」(3巻10章p.265)

これはファッジの言葉です。
さらに、『忠誠の術』とそのために必要な『秘密の守り人』についての説明の後、マクゴナガル先生がこう言っています。
「ジェームズ・ポッターは、ブラックだったら二人の居場所を教えるぐらいなら死を選ぶだろう(中略)とダンブルドアにお伝えしたのです……それでもダンブルドアはまだ心配していらっしゃった。自分がポッター夫妻の『秘密の守り人』になろうと申し出た(後略)」(3巻10章p.266)

また、マクゴナガル先生は「ダンブルドアには、誰かポッター夫妻に近い者が二人の動きを『例のあの人』に通報しているという確信がおありでした」(同)とも話しています。


ダンブルドアは、自分が『秘密の守り人』になろうとしていたのですね。
でも、誰かポッター夫妻に近い者がヴォルデモートに通じていると気づいていながら、二十歳そこそこの若夫婦の判断に任せてしまうところが無責任だと思います。
結局ブラック自身は信じるに足る人物でしたが、問題は、ブラックの忠誠心ではなくピーターを『秘密の守り人』にすれば目眩ましになると考えた浅はかさにあったわけです。
そこまで見抜けなかったにしても、やはり憂いの残る状態でジェームズの判断に任せたところが残念です。

そう、これはジェームズの判断だと思うのです。
リリーにとっても親しい友人となってはいたでしょうけれど、ジェームズの比ではなかったと思います。11歳で意気投合して以来、ジェームズとシリウスはリリーの知らない秘密をいくつも共有する無二の親友となっていました。
「ジェームズがブラックを使うと主張した」と3巻の同じページにはっきり記されています。
ダンブルドアの強い説得も、ジェームズの主張の前では通らなかったのかもしれません。リリーは、夫や友人を信じていたとは思いますが、ダンブルドアでも構わなかったと思います。

セブルスの過ちが引き金となり、ダンブルドアの詰めの甘さとジェームズとブラックの短慮が不幸にも重なって、起こった悲劇だったのだと思います。

「リリーとジェームズが『間違った人間』を信用した」とダンブルドアに言われ、それがブラックだと知ってからは、セブルスの恨みもジェームズとブラックに集中したのではないかと思われます。(ブラックの無実が明かされるまでは)
それをうかがわせる言葉がこれです。
「こいつ(ブラック)に殺されれば、自業自得だったろうに!おまえの父親と同じような死に方をしたろうに。ブラックのことで親も子も自分が判断を誤ったとは認めない高慢さよ」(3巻19章p.468)
また、この時のスネイプ先生についてハリーは、理性を失っている、とか狂気じみて、などと見ています。

自分を責める気持ちだけでなく、ジェームズの判断ミスを責める気持ちもずっとあったのだと思います。
リリーの死から12年以上経ってもこれほど取り乱すのですから。

ジェームズとブラックを恨むことは、多少責任転嫁だったかもしれません。でも、そうすることで、セブルスはギリギリ心の平衡を保っていられたのではないかと思っています。

● COMMENT ●

先生の、あのときの狂気のような姿を思い出して、胸がはげしく痛みました。あのとき先生はリリーのことを思ってあんなに必死だったのに、私は全然知らないでいたんだ……と思ったのです。
読み返すと、物語のあちこちに先生の影がちらつく、と思ったことがありましたが、先生は普段の生活やハリーたちの事件の中で、誰にも分からないようなところでもリリーの影を見ていたのかと思うと、悲しくて震えてしまいます。
責任転嫁もせずには耐えられないような悲しみだったのかと思うと、それも辛いです……。ひたすら嘆いてしまって、すみません。

心が壊れそう

鬼百合さん、コメントありがとうございます。
あの時スネイプ先生は、リリーを救えなかった激しい後悔と、今度はリリーの息子をなんとしても守ろうという必死の思いで、傍目には狂気と映るほどの状態だったのだろうと思います。本当に、それほどの悲しみや苦しみを全く知らないまま、あっけにとられて見ていた自分が嫌になります。

ずっとずっと苦しみ続けたスネイプ先生。
真相が明らかになっても「ハリーを憎むのはお門違い」という見方はありますが、それもスネイプ先生の自分の心を守る手段の一つだったのだと弁護したいです。

はじめまして。

はじめまして。翠玉と書いて、べりる、と申します。
少し前に、突然スネイプ先生に対する想いが蘇ってしまって以来、再び彼の虜になっています。

ここ1週間くらい、昔の記事から所々読ませていただいていました。
勇気を出して初めてコメントさせていただきます!

私も先日、7巻が発売されてから初めて、スネイプ先生について3巻を考察し直して…胸が、締め付けられました。
あの時彼が、どんなに苦しくて、必死で、どれ程ブラックが憎かったか…そして、念願叶わず無念だったかと思うと…。
『善い』側の人間によって、さらに彼に対する誤解が拡げられていく様にも、今では読むに耐えない辛さを感じました。

スネイプ先生が何の歪みもなく『善』の人間で、全く『正しい』人間だとは思いませんが、私は…過去にブラック達がしたことや、リリーへの想いを考えると、スネイプ先生の、あの過剰とも取れてしまうような反応で当然だと思いました。


このブログを見つけた時、すごく、すごくうれしかったです。
こんなにも深くスネイプ先生を愛して、スネイプ先生のことを考えてくれている人がいる、と。
張り裂けるように激しいせつなさや、いとしさを、勝手ながら…共有しているような気持ちになりました。

私は二尋さんのように継続的にコツコツと考察を続けてきてはいませんし、まだ全巻しっかりと読み込んだわけですらありません。
ですが…もしよろしければ、これからも交流を持たせていただければ、と思います。
スネイプ先生への想いを思い出してしまってからというもの、毎日、先生のことを考えずにはいられないのです。

スネイプ先生に関する記事は今のところ、ほぼひとつなので申し訳ないのですが…自分のブログのアドレスを貼らせていただきます。
これから自分の考察を拡げていきたいと思ってもいますので、よろしくしていただけると嬉しいです。

長々とコメントしてしまい、すみません。読んでいただいてありがとうございます!

それでは、失礼します。

はじめまして!

翠玉さん、はじめまして!
このブログを気に入って下さり、ありがとうございます。
見つけてうれしかったと言ってくださって、私もとてもうれしいです。

3巻のスネイプ先生は、真相を知らない状態では、ヒステリックにさえ見えたものですが、今となってはとんでもない話ですよね。
どんな思いでブラックとルーピンが一緒にいるのを見て、どんな思いで透明マントを被ったままルーピンの話を聞き、どんな思いで「わかりもしないことに口を出すな!」と言ったのか。
叫び声と一緒に心の傷から血が噴き出ているかのようだと思います。

必死の思いは誰にも伝わらず、ハリーだけでなくハーマイオニーやロンからも同時に武装解除呪文を発せられ、頭から血を流していたのに長い時間放置されて、挙句は宙吊りにされて頭を天井にぶつけながら運ばれて。
心身ともに傷ついたその状況の一つ一つを思い浮かべると、切なくて身を捩ってしまいます。本当に辛くてたまりません。

ブログ、拝見しました。
4巻以降、まだ詳細を読んでいらっしゃらないようなので、これ以上語るのは控えておきますね。
これからますます切ない思いをするかもしれませんが、どうか目をそむけることなく、彼の人生を見届けてください。そして、各場面で気がついたこと感じたことを色々教えてくださいね。
スネイプ先生への愛をどしどし語り合いましょう!
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございました。

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コメント下さった方へ

コメントありがとうございます。
6巻のダンブルドアが言った「ひどい間違いを犯した」について、私は、盗み聞きしたことやそれを伝えたことではなく死喰い人の仲間になったことと解釈しています。
「スネイプ先生はひどい間違いを犯した。トレローニー先生の予言の前半を聞いたあの夜、スネイプ先生はまだヴォルデモート卿の配下だった。(後略)」(6巻下p.350)という6巻のダンブルドアの言葉を見ると、「間違いを犯した」以降の説明が間違いであるかのように見えますが。

おっしゃるように、盗み聞きしたこともそれを伝えたことも、死喰い人としては当然の働きだと思います。そしてダンブルドアもそれは当然のことと考えています。となると、その点が間違いだとは言わないと思うんです。
死喰い人として、主人であるヴォルデモートのために良かれと思ってしたことが、実は最愛の女性を死なせる原因となってしまった。リリーのことだと知っていれば伝えなかっただろうに、いや死喰い人にさえならなければ、という意味ではないかと思っています。
だから敢えて言うなら、犯した間違いというのは、「ヴォルデモート卿の配下だった」という部分にかかると考えれば良いのではないかと思います。

ちなみに私が記事に書いた「セブルスの過ちが引き金となり」というのは、「セブルスが死喰い人になったことが引き金となり」の意味で使っています。
「セブルスの軽率な行いが」にしようかとも迷ったのですが、簡単に「軽率」と言ってしまいたくない気持ちと、ご指摘の6巻のダンブルドアの「ひどい間違い」が頭にあったので、「過ち」としました。
もしかしてその辺で疑問に思われたのかもしれませんね。
全然的外れなどではありません。書いてくださって嬉しいです。

それから、こいつに殺されれば自業自得~」という言葉も今見ると本当に衝撃的ですよね。
映画ではこの場面のスネイプ先生は割と冷静でしたが、原作ではかなり我を忘れた感じで、イッてしまっている感じすらします。それが今見るとよけいに痛々しく、本当に苦しくなります。ぜひ、3巻を読んで、苦しみを共有してください。


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