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2017-11

変化 - 2010.02.22 Mon

リリーとの決別の場面の次は、死喰い人時代のセブルスが、風の吹きすさぶ丘でダンブルドアと会っている時の記憶でした。
トレローニーの予言を聞いた後、さらにヴォルデモートは予言の男の子がリリーの息子だと解釈した後の出来事のようです。

丘の上は冷たく、そこに立つ木の枝は落葉していることから、秋から早春にかけての出来事ではないかと思います。ハリーが生まれた1980年の秋から1981年早春あたりでしょうか。
誰かを待ってその場をぐるぐる回るセブルス。見ているハリーに乗り移るほどの恐怖を抱いているセブルス。
白い光線とともに現れたダンブルドアに杖を吹き飛ばされ膝をついたセブルスは、がっくり膝をついて「殺さないでくれ!」(7巻33章p.433)と言いました。
予言の男の子がリリーの息子であることを話すセブルスは、ダンブルドアに、息子と引き換えに母親であるリリーを見逃してくれるようヴォルデモートに頼まなかったのか尋ねられ、「そうしました―私はお願いしました」(7巻33章p.435)と答えました。


子ども時代~学生時代のセブルスは、今までのイメージを覆すような無邪気さがあって驚いたのですが、この時も、大人になっているというのに、6巻までの私のイメージと全く違うものがあり、だいぶ驚きました。

まず、第一声が「殺さないでくれ!」という臆病なところが。
そして、リリーさえ助かれば、その息子の命はどうなっても良いと思っているところが。ジェームズがどうなっても良い、というのは理解できますが、赤ん坊の命と引き換えにその母親の命乞いをするというところが、ちょっと信じられませんでした。
そして、そうした上で、まだ心配でダンブルドアのところにリリーを守ってくれるようやってくるところも。

私が知っているのは、ハリーが入学してからのスネイプ先生で、それはつまりリリーの息子を守ると誓った後の姿ですから、当然と言えば当然なのですが、やはりそのギャップには驚かされます。
彼はこの時点までは、周りのことが見えていない上に、命の重みもわかっていなかったのだとつくづく思います。
ただただ自分が大事、だから自分の愛するただ一人の女性の命も大事、でもその女性にとって大事なものまでは考えない。
こんなに自己中心的な人だとは思っていませんでした。
けれど、驚きはしたものの、幻滅するようなことはありませんでした。
この後の変化を際立たせるエピソードとなった、と感じる程度です。

この時、自分大事のセブルスは、第一声が「殺さないでくれ!」でしたが、実はものすごく身の危険を冒してダンブルドアと面会したのだと思います。
ヴォルデモートの配下でありながら、その命を脅かす者の母親を守って欲しいとダンブルドアに言いに来たことが知れたら、命はないものとわかっていたでしょう。
ダンブルドアだって死喰い人にとっては敵ですから、のこのこ出て行ったら殺される、くらいの恐怖はあったと思います。
ダンブルドアを待つ時の恐怖は、ダンブルドアとヴォルデモートの両方に対するものだったのではないかと思っています。
死にたくないけれど死ぬかもしれない、でもリリーを助けたい、その思いで出かけていったセブルスは、自覚はなくとも既にリリーを自分よりも大事な存在と考え始めていたのではないかと思います。

また、リリーだけの命乞いをしたことを侮蔑されても一切の弁明をせず、全員を隠すよう頼んだのも、プライドも何もかなぐり捨てての必死な思いが伝わります。

さらに、ダンブルドアに「その代わりに、わしには何をくれるのじゃ」と見返りを尋ねられ、しばらくの沈黙の後に「何なりと」と答えたセブルス。それはつまり、自分の命を含めリリー以外の大切なものを全て差し出しても、自分の犠牲を知らぬままリリーが夫と息子と楽しく暮らしても、リリーが生き延びることを優先した、ということだと思います。
この時、今までは自分あってのリリーだったのが、完全に自分よりも大事なものとしてリリーの存在を意識したのだと、私は考えています。

さっきまであんなに自己中心的だったのに、いつの間にかリリーとその家族を隠すことの優先順位が上がり、自分は他の何を失っても良いと考えている……。
沈黙の間にどんな思考がセブルスの頭を過ったのでしょう?
ダンブルドアとの会話の中で、セブルスが自分の本当に大事なものを自覚していく様子が感じられて印象深い場面です。

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