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2017-09

ハリーの目 - 2009.12.16 Wed

33章を読んでいると、ハリーの目に驚かされます。
ハリーの目といっても、リリー譲りの緑の瞳の話ではありません。
スネイプ先生の記憶を見ているハリーの視点、という意味です。
33章でスネイプ先生の記憶に入ってからのハリーの視点は、明らかに今までと違うものがあると私は感じています。

今までは、全てマイナス方向に捉えるフィルターがかかっていました。
スネイプ先生のどんな笑いも嘲笑に受け取り、感情の高ぶりは怒りや憎しみとしか見ていなかったと思います。
しかし、33章でハリーの目を通して描かれるセブルスの姿からは、小さな喜びやときめき、憧れ、恥じらい、失望、絶望、苦悩等、今まで想像の中でしか見られなかったような多彩な感情がはっきり伝わってきます。
閉心術を使っていない時代だったり、真実を知るダンブルドアの前での出来事だったりすることも一因だとは思いますが、他でもないハリーの視点の変化の表れだと思います。
実に公正な目でもってスネイプ先生の過去を見ていると感じます。

以前のハリーなら、ホグワーツ特急の中で初めてセブルスと出会ったジェームズを、
「どことなく、かわいがられ、むしろちやほやされてきたという雰囲気」(7巻33章p.425)
indefinable air of having been well cared for, even adored,(UK版p.538)
などとは見なかったのではないかと思います。
ちやほや、という言葉からは、ダドリーが連想されます。もしかしたら、ハリーは自分の父親に、ダドリー的な何かを感じ取ったのかもしれません。
そこには、尊敬する自分の父親と対立する大嫌いなスネイプ、というフィルターは見られません。
おかげで、客観的な事実として33章を見ることができる安心感があります。

組分けの儀式の場面では、リリーがグリフィンドール寮に組分けされてセブルスが小さな呻き声を漏らすのを聞き、その後、セブルスの名が呼ばれると一緒に丸椅子まで歩いています。
記憶の主とはあまり離れられないにしても、5巻28章の中ではかなりセブルスとは離れて歩いていましたから、この場面だって必要に迫られて歩いたわけではないと思っています。
ここは、ハリーの心が、セブルス少年に寄り添っていたからこその行動だと私は感じていて、33章の中でかなり好きな場面です。

スリザリンのテーブルに向かうセブルスのことは、「リリーから遠ざかるようにして大広間の反対側に移動し、」(7巻33章p.427)と書かれたのみ、スリザリン生の歓迎に迎えられたことや、ルシウスとの出会いがあったことがわかりますが、川のそばの低木の茂みやホグワーツ特急の中で示した希望のようなものが伝わってこないのは、やはりそこに軽い失望があったことをハリーも感じているからではないかと思います。

この後も、ハリーはセブルスの感情を、憤り(resentment)、苦々しさ(bitterness)、嫌悪感(dislike)、屈辱感(humiliation)、怒り(fury)、恐怖(fear)、苦悶に満ちた(anguished)などと見ています。
嫌悪感とか、怒りなどは、かつても何度か出てきた言葉ですが、それも以前とは違ってそのまま受け取って良いと思います。
閉心術を使う以前の様子や、ダンブルドアの前での様子が、フィルター無しで見られて良かったです。

こうしてみると、スネイプ先生自身の閉心術とハリーのフィルターによって、7巻33章より前は、随分少ない感情しか見てこられなかったのだと実感します。(読む側としては、悲しみなどは随分補足していましたが)
フィルターが取り去られた今、ハリー視点で過去を振り返らせたら、3巻でシリウスに逃げられてキレた場面や、6巻でダンブルドアに死の呪文を唱える前の表情などは、きっと全然違ったものになるのだろうな、と思います。

● COMMENT ●

本当に理解したタイミングは…

こんばんは。KUMORIです。

私の中では、ハリーがスネイプ教授の不信感を完全に払拭出来たのは、二尋さんが前に提示された、リリーが'Does it make a difference, being Muggle-born'(マグル生まれは何が違うの?)という質問に対して、セブルス少年が'It doesn't make any difference'(何も違いないよ)と、返事した時だと思います。

何故、と訊かれると、根拠が薄いのですが…、6巻29章で'~he didn't think my mother was worth a damn ~Madblood, he called her'(母さんの事、どうでも良かった。~「穢れた血」って呼んだ)とハリーが叫んだ事です。

この2つが私の中で少しリンクしました。ハリーも軽い驚きであると同時に、「マグル生まれも何にも違いないよ」と言う、セブルスの事を嬉しく思ったでしょう。

>こうしてみると、スネイプ先生自身の閉心術とハリーのフィルターによって、7巻33章より前は、随分少ない感情しか見てこられなかったのだと実感します。

ハリーのフィルターはかなり大きな割合を占めましたよね。時々私は原書を読むとき、HarryをIに変えて読んでます(笑)。

そういえば、ハリー、この後で「なんで母さんは父さんと結婚したの?」再び思う事があったのでしょうか。

*済みません。今、手元に邦訳版が無くて、日本語訳が曖昧な記憶の元書かれてます。違っていたら、遠慮なく言って下さい。

ハリーの変化

KUMORIさん、コメントありがとうございます!

「本当に理解したタイミング」って、考えたことなかったです!
なんとなく、色々な過去を見るうちに、理解を深めていったのかな~という気がしていました。
子ども時代のあのセリフは、セブルスの人間性が出ていると私も思います。その辺、ハリーにも伝わったかもしれませんね!

あと、「理解」ではないけれど、ハリーの見る目が変わったのは、この記憶に入る前からだったように感じています。銀青色の物質が出てきた時とか、最期の言葉に視線を向けた時とか、亡骸をただ見つめている時とか(泣)、既に今までにない雰囲気を持っていた気がします。
スネイプ先生の憎しみ以外の表情に心動かされるものがあったんじゃないかと思っています。

ハリーフィルターには、随分惑わされました。あれも作者の手なんでしょうね。
私にとっては、依然「なぜジェームズを選んだか」は謎のままです。本の中でジェームズは名誉挽回する機会を与えられなかったですよね。
ハリーに与えられた情報だって同じでしょうから、やっぱりその点疑問に思ってもよさそうです。
それとも、自分の命を犠牲にして妻子を守った、という行動で納得してしまったのでしょうか?そこに至る過程は省かれても。

私も33章に入ってから、ハリーの考え方、ものの見方(特にスネイプに対する)が全く違っていると思い、真実を知る前になぜそんなふうに変わったのか、不思議でしたけれど、

>スネイプ先生自身の閉心術とハリーのフィルターによって、7巻33章より前は、随分少ない感情しか見てこられなかった

ということは、スネイプが閉心術を捨てて(あの状況では、そんな必要も、力も(涙)なかったかも…と思います)、感情のままに行動したり、しゃべったりしたことで、ハリーも何かを感じ取ったのかも、と思いました。
32章を読んでいたとき、「今までとはスネイプの様子が全然違う!」と漠然と感じ取れたのですが、ハリーはよりはっきりと同じことを感じたのかもしれない…と思いました。そう思ったら、ずいぶん納得がいきます。

ところで、組み分けのシーンでハリーがセブルスについて行ったこと、全然覚えていませんでした!(汗)そんなふうに捉えたら、本当にじーんとして、上下巻を全部飛ばしてそこをもう一回読みたくなりました(今、七巻の読み返し中で、「七人のポッター」のところなんです)。先を急ぎま~す。

セブルス寄り

鬼百合さん、コメントありがとうございます!

32章のスネイプ先生は、全然雰囲気が違いましたね。ヴォルデモートの前では、閉心術こそ解かなかったでしょうけど、それでもいつもと様子は違いました。
ハリーの姿を認めてからは、閉心術どころではなかったと思います。ハリーの方も、その時はそれがどういうことなのか考える余裕はなかったでしょうけど、何か感じるものはあったのではないかと思います。少なくとも、託された記憶を真摯な態度で見ようと思わせる、真剣さは伝わったと思います。

組分けの場面、大好きなんです。
5巻でスネイプ先生の記憶に入ったハリーは、自分の父親やシリウスの言動に夢中になって、記憶の持ち主であるセブルスよりも、そっちについていきましたよね。
でも、今回、ハリーは同じ空間にいてもジェームズのそばに行こうとはしませんでした。リリーのそばにも行かないで、セブルスのそばで見守っていました。そして、リリーがグリフィンドールに組分けされた時のセブルスの呻き声を聞いていましたよね?
そんな気持ちの変化が嬉しかったんです。


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