topimage

2017-08

口下手 - 2009.08.31 Mon

リリーの前のセブルスは、言うこともやることも全て裏目に出ているようで、見ていてとてもはらはらします。

自分の力の正体を知らないまま魔法で無邪気に遊ぶリリーを、灌木の陰から覗いているセブルス。
その力を不思議がるペチュニアの「どうやってやるの?」という質問に、セブルスは「わかりきったことじゃないか」(7巻33章p.412)
‘It’s obvious, isn’t it?’(UK版P.533)
と、ついに堪え切れなくなって飛び出しました。
飛びたしたものの赤くなって落ち着きを失っているセブルスに、リリーが説明を促します。
セブルスは、「きみは……きみは魔女だ」(7巻33章p. 413) ‘You’re…you’re a witch,’(UK版p.533)
と答えました。

私はこの部分、知らない男の子にいきなり魔女などと突拍子もないことを言われてリリーが腹を立てたのだと思いましたが、witchには、意地悪な女、いやな女という意味があるのだと、みちえさんのブログで知りました。
初対面でいきなり、「おまえはいやな女だ」と言われたら(と思い込んだら)、誰だって怒りますね。
その後「違うんだ」(‘No!’)と言って追いかけているところを見ると、誤解されたことをセブルス自身も瞬時に理解したのだと思います。

誤解を解こうと、リリーが文字通りの魔女であること、自分の母親も魔女であること、自分自身も魔法使いであることを話すセブルス。
しかし、どうやら子どものころから「まとも」だったらしいペチュニアの前で言ったのは逆効果だったようです。
真っ赤な顔をして追いかけてきて、魔女だとか魔法使いだとか説明する男の子に対するペチュニアの不信は募ったようでした。
「マグル」発言には侮蔑的な調子もあったのでしょう。言葉の意味を知らなくても怒ったペチュニアは、リリーを引き連れて帰ってしまいました。
リリーも去り際に睨みつけていくし、第一印象は散々だったようです。

去っていく姉妹をじっと見るセブルスに、ハリーは失望を感じ取り、しばらく前からこのときのために準備をしていたことを理解します。(これはハリー視点ではありますが、スネイプ先生の死を見てからのハリーには、今までのような憎しみのフィルターがかかっていないようなので、ハリーが感じた通りだと解釈してよいのではないかと思っています)

私にとって意外だったのは、このときのために、セブルスがしばらく前から準備していたのに上手くいかなかった、ということです。
大人のスネイプ先生は用意周到というイメージが私にはあって、準備していたものが失敗に終わるとはとても思えなかったのです。

上手くいかなかったのは、子どもだったから、計画が不十分だったということでしょうか。
確かに姿を現したことを後悔していたセブルスを見ると、当初はリリーが一人の時を狙って(笑)、姿を現す計画だった可能性もあると思います。
でも計画自体に問題があるというよりは、会話のキャッチボールが上手くいっていないことに原因がある気がします。
次の記憶の場面では、ペチュニアを泣かせてリリーの怒りを買っています。本当に傷つけられたのはセブルスの方なのに、制御できなかった魔法を責められて、嘘をついて……、と全く歯車が噛みあいません。
さらに後の場面では、付き合っている友達のことでリリーと議論して、ジェームズの話題になった時も支離滅裂でした。

自分の気持ちを相手に伝えることが苦手なのだと思います。
論理的な思考の持ち主なのに、こと自分の気持ちとなると、相手にわかるように伝えられないのだと思います。特に好きな人に対しては、これほどまでに見る者をやきもきさせるほどの口下手だったとは!
でも、伝わらないとすぐに諦めてしまうのではなく、追いかけてまで説明したり、色々な言葉で説明しようとしたり、とにかく伝えようと努力していたことが各場面からわかり、強く胸を打たれました。
自分の気持ちを抑え込む人、というイメージが私にはあったのですが、自分をわかって欲しくて努力する少年だったのですね。
この努力、どこかで報われて欲しかったです。

この記憶で、ハリーが目にした苦い失望を噛みしめるセブルスの姿を、きっとリリーは知らないと思います。
後の場面での、ペチュニアを泣かせてリリーを怒らせみじめな混乱した顔で見送る姿も、『穢れた血』と発言したことをなんとか弁明しようともがく姿も。
そう思うと、他の場面でも、見えないところでスネイプ先生がどんな表情をしていたのか気になります。シリウスを逃がされて逆上して去っていった後とか、ダンブルドアの殺害の依頼を受けた後の顔とか。
その時だって気持ちを伝えようと努力していた、と今になって思います。
そしてやっぱりその努力は報われなくて。
伝わらなかった想い(あえて無視された想いも含めて)は、大人になってからも、たくさんあったのではないかと思います。
つくづく不憫です。

● COMMENT ●

素直すぎて、伝わらなかったかな?

こんばんは。再びお邪魔します。KUMORIです。

>自分の気持ちを相手に伝えることが苦手なのだと思います。
という文章に共感しました。1巻から読み返してみても、スネイプ先生、計画は上手くいくのに、気持ちの面では空回りしてしまう事が、あったかなと(私個人の感想ですが…^^;)。例えば1巻13章のNicolas Flamelで実はハリーを庇っていたのに、周りの教職員を含めた人々から誤解を受けたり、3巻19章では、本当に主人公トリオを助けに入った(つもり)だったのに(今の私から見れば)、逆に先生のほうが悪者になったりと、可哀想という言葉では表現できない程先生傷つけられてますよね。それでも生徒優先で、ホグワーツの生徒を全力で守るとおっしゃった先生…。こんな先生、私も欲しかったな(笑)。

>伝わらなかった想い(あえて無視された想いも含めて)は、大人になってからも、たくさんあったのではないかと思います。

本当ですよね。一体、どれだけスネイプ先生の思いが正確に相手に伝わったか、そういう面でも個人的には先生に生きていて欲しかったです。

2回のコメント返し、ありがとうございました。すぐに返事が来るとは思ってなくて…。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございます。

また拝見させていただきます。

内に秘めた想いは溢れるほどなのに、相手に言葉では上手く伝えられない。
努力しては失望を重ね、伝えきれなかった本心がどんどん蓄積されていき・・・想像するだけで痛々しいですが、そのことによって、人並み外れた魂の強靭さに、不本意ながらも磨きをかけていったことも事実だと思います。
そしてそれが、スネイプ先生を支える原動力ともなっていたのかなぁ・・・。

>自分をわかって欲しくて
言葉では上手くいかないけど、魔法は意のままに操れる。言葉を介さなくてもいい。
切ないけど、スネイプ先生に「魔法」という手段があってまだ良かったと思います。
救いだったと思います。

ピュア(死語?)

【KUMORIさん】
コメントありがとうございます。
あのヴォルデモートを最後まで欺き通した頭脳明晰な先生ですが、意外な一面を見せつけられて驚きました。本当に、初めて読んだ時は「誰?」と思たものの、好きな子の前で上手く話せない素直でけがれの無い彼に惚れなおしました。

ハリーや生徒を庇っているのところは知られたくなかったかな、という気もしますが、あまりに誤解が多くて、見ているこちらが切なくなってしまいます。
死後でも良いから、生徒や先生たちには、スネイプ先生の言動の意味を振り返って欲しいと思います。
本当に大切な人に、気持ちが伝わらなかったようなのが辛いです。相手も、もう少しアンテナ立てておいてくれても……と愚痴りたくなります。

心の叫び

【kobaさん】
コメントありがとうございます。
どんどん内に籠っていった感じです。
どんなに苦しかったことでしょう。精神的な強さが培われると同時に、闇に向かうきっかけとなったようで、辛いです。

>「魔法」という手段
自分を表現できる手段があって、本当に良かったです。
発明した数々の魔法は、彼の心の叫びでしょうか。
でも、だんだん闇の気配を漂わすようになってくるところが、心を映しているようで、苦しくなってきます。

9/12の22時頃、拍手コメントをくださった方へ

拍手とコメントありがとうございます!
本当に、愛情表現には特に不器用な人だったと思います。
そこがますます愛しいのですが、本人は苦しかったでしょうね。


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