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2017-11

家庭 - 2009.08.12 Wed

スネイプ先生の記憶に入ったハリーが見た、セブルス少年の外見は、かなり具体的に描かれていました。

痩せた男の子が、(中略)じっと二人を見ていた。男の子の黒い髪は伸び放題で、服装はわざとそうしたかと思えるほど、ひどくちぐはぐだった。短すぎるジーンズに大人の男物らしいだぶだぶでみすぼらしい上着、おかしなスモックのようなシャツを着ている。(中略)せいぜい九歳か十歳のスネイプだ。顔色が悪く、小さくて筋張っている。(7巻33章p.411)
また、細い顔(thin face)という描写もありました。

気になるのは、痩せて(skinny)、顔色が悪く(sallow)、小さく(small)、筋張っている(stringy)ことです。
skinnyは、ただ痩せているというのではなく、痩せこけた、骨と皮ばかりの、という意味のようです。
sallowは、大人になってからも散々スネイプ先生を形容するのに使われた「土気色」で、だいたいが病的な顔色の悪さを指すようです。
stringyは、痩せて筋張ったということらしいです。筋張るとは、筋肉が表面に張り出るということですが、筋骨隆々というよりは、脂肪がないために筋の走行や腱や血管が見えているという状態を言っているのではないかと推察します。
9歳か10歳の子どもが骨と皮ばかりで、病的に顔色が悪くて小さいというのは、とても心配なことだと思います。

ちなみに、1巻最初のハリーも、skinny、small、thin faceなどと表されていました。同じ単語でも、日本語では「小柄でやせていた」「細面(ほそおもて)の顔」、などと表現されていましたが。
一度もお腹いっぱい食べたことがなかったと言っているハリーと似ている、あるいはそれ以上に貧弱な体形のセブルスは、同じような食生活だったのではないかと考えます。いえ、sallowがある分、性質(たち)が悪い気もします。
もっとも、その後もずっとその顔色だったので、そういう体質だったとも考えられるし、本当に何か病気を抱えていたのかもしれません。

十分な食事を与えられていなかったかのようなセブルス少年はまた、他の点でも十分構ってもらえていなかった印象があります。
髪の汚れが目立った(dirty-haired)という表現です。9歳か10歳だからそれほど脂ぎってはいなかったのかもしれませんが、dirtyという表現に不潔で汚れた様子がうかがえます。ああ。

服装のちぐはぐさについては、私は母親のアイリーンが魔女であるために生じる間違いだと考えています。ちょうど、6巻でゴーントの家を訪れたオグデンが「不慣れな魔法使いがマグルらしく見せるために選びがちなちぐはぐな服装」(6巻10章p.301)をしていたのと同じように。
貧しいためにあり合わせの服を着せたという事情もあるかもしれませんが、ダドリーのお下がりばかり着ていたハリーですら「ちぐはぐ」と感じるくらいですから、『不慣れな魔法使い』の要素はあったと思います。

とりあえずマグルと結婚しているために、男性はズボンを穿くことは知っていてジーンズを穿かせたのだと思います。そうでなければ4巻のクィディッチワールドカップを観戦する前キャンプ場で見たアーチーのように、ネグリジェなどをローブ的なものとして着せられたかもしれません。
そして、おかしなスモックこそ、アイリーンがローブ的だと妥協できるぎりぎりの選択だったのではないかという気がします。さらに、大人の男物の上着はマント的なものとして着せたのではないかと思うのです。
父親のトビアスはマグルですから当然この奇妙な格好に気づきそうですが、きっと息子への無関心から、それを指摘しなかったのだと思います。

アイリーンも特にマグルに馴染もうとしてはいなかった気がします。
だからこそ、スピナーズ・エンドから少し離れて暮らすペチュニアもスネイプという名前を知っていたのだと思います。ちょっと常識から外れた行動をする一家の名前として。
アイリーンもまた、マグル社会の中で孤立していたのだと思います。

ちぐはぐなのが魔法使い的誤りだったとしても、場面が変わっても同じ服装だったのは、構ってもらえていない証拠だと思います。次の場面では上着こそ脱いでいましたが、同じ奇妙なスモックを着ていました。
ホグワーツ特急に乗る前の服装の描写はありませんが、乗ってからの
すでに学校のローブに着替えている。たぶんあの不格好なマグルの服をいち早く脱ぎたかったのだろう(7巻33章p.423)
という描写から、プラットホームまではいつものスモックと短いジーンズを穿いていたのだと思います。
髪は伸び放題で汚れていたり、不揃いに切られていたり、大人物の服を着ていたり、いつも同じ服で季節に合っていなかったり。この描写を読むと、私はハックルベリー・フィン(母を亡くし父も行方不明のたホームレスの子)を思い出します。両親が一緒に住んでいるというのに……。
虐待と言っても過言ではないと思います。

両親は喧嘩ばかりしていたようです。それは、5巻で垣間見た過去の様子からも薄々感じられることでした。
父親が母親を怒鳴りつける部屋の片隅で泣いていたり、両親の様子をリリーに聞かれて眉間に小さな皺を寄せたりしたセブルスは、幼いころからその状態に心を痛めていたのだと思います。
家庭が、心から寛げる場所でなかった様子なのが本当に気の毒です。

十分構ってもらえず、両親の不仲に心を痛めていた幼いセブルスが、ホグワーツ(魔法界)に強い憧れを抱いていたのは、別な世界に救いを求めているようにしか見えないのが、不憫で不憫で仕方ありません。

● COMMENT ●

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コメントを下さった方へ

コメントありがとうございます!
何も余計なことではなかったですし、控える必要もありませんよ~

私もネグレクトだと思いました。
幼い彼がスピナーズエンドの一室で、どんな気持ちで目覚め、どんな気持ちで眠りについたかと想像すると胸が痛みます。
お母さんから聞かされる魔法界の話と、強い魔法の力を持って生き生きと動きまわるリリーが、実際より何倍も眩しく見えたことでしょうね。

本当に、満腹でぐっすり眠った描写があれば、私ももう少し救われるのですが。

すごいですね

初めて書かせていただきます。
一部だけ目を通しただけですが、確かに英語力がおありのようで、なかなか鋭い指摘や洞察、面白く読ませていただきました。
しかし思い込みや思い入れから誤解して書いている部分もかなり多いような印象も持ちました。そこまで自分の英語力が確かだという自信はどこからくるんでしょうか?
もちろんどう読み、どう解釈するかは個人個人自由だとは思いますが、あなたの思い込みをそのまま正解だと信じてしまっている人たちもたくさんいるらしいのが気になります。

誤解です

シュウさん、はじめまして。
ご指摘ありがとうございます。
しかし、どこをご覧になったのかよくわからないのですが、私が英語に自信があるということこそ、全くの誤解です。

1~5巻までは、日本語訳のみでの解釈に、時々原書読みの方からの指摘を織り交ぜて追記していました。6,7巻のみ原書で読みましたが、辞書と、英語の分かる人の助けを借りて何カ月もかけて読みました。
そんなやり取りと、英語力の無さを示すエピソードは、ブログ(3つ持っています)の随所に残されています。誤読を指摘され、論理的な説明をいただき、解釈を変えた部分もありますので、できれば、具体的にどの部分が誤読なのかご指摘いただけると嬉しいです。

あと、読み方の正誤とは別に、私の想像や妄想で行間を読んでいます。あくまで私の中のスネイプ先生像をはっきりさせることが目的ですし、正解など存在しないものだと私は再三書いているつもりです。私のスネイプ先生像に共感してくださる方の気持ちまでは、どうすることも出来ません。

私が唯一自信を持っていると確信しているのは、スネイプ先生に対する愛の強さだけです。

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レスありがとうございます

>1~5巻までは、日本語訳のみでの解釈に、時々原書読みの方からの指摘を織り交ぜて追記していました。6,7巻のみ原書で読みましたが、辞書と、英語の分かる人の助けを借りて何カ月もかけて読みました。

なるほど。もしかしたらそうなのではないかとは思いました。日本語版のイメージに影響を受けているのではないかと思われる解釈、原書のみを読んでいる人なら明らかに翻訳者の誤訳・誤解釈だとわかるような箇所を肯定されている記述がかなり多かったからです。

どこがどう違っているのかについてはここではひとつひとつ具体的に取り上げてご説明するつもりはありません。正直、そういう箇所が多かったので、そこまでやってる時間的余裕はありませんので・・・。申し訳ない。

でもせっかくそうやって原書に挑戦するべく英語を一生懸命勉強しているんですから、これからもがんばって原書を読んでください。
そしてその時には日本語版から得た「知識」やイメージをなるべく忘れて、新たな視線で読み直してみたらいいかもしれません。ネットで検索すると、原書ファンが日本語版ハリポタの誤訳などの問題を扱って研究しているサイトがいくつかあるみたいなので、そういうところを参考にするのもいいかもしれませんね。
そうすればきっと、今まで頭に描いていたのとはちょっと一味違う新しいハリーポッターの世界が見えてくると思います。
スネイプ教授への愛がそんなにおありならなおさらのことです。^^

とにかく日本語版のせいで原書とはまるで違ったイメージを抱いている読者があまりにも多いようなので、このように一部の方々から注目を浴びているブログで、さらにハリポタに対する誤解が生じてはいけないと思い、失礼だとは思いましたが一言書かせていただきました。

秘密コメントを下さった方へ

はじめまして!
初コメントは勇気が要りますよね。勇気を出して書いてくださって嬉しいです。

今まで色々な方からスネイプ先生ファンとなったきっかけを伺いましたが、そのセリフがきっかけだという方には今まで会ったことがありません。でも言われてみれば確かにそのセリフ、意外な頼もしさを感じました。(同じenoughでも、5巻でハリーにプロテゴで記憶を覗かれた時のenoughは痛々しかったですが)
やっぱり人それぞれ、着眼点が違う所が面白いです。

コメントありがとうございました。
またどうぞいらしてくださいね。

フィルターなしで

【シュウさん】
再度コメントありがとうございます。

>時間的余裕はありませんので
お忙しいのですね、残念です。最新の誤解だけでも教えていただければ有難かったのですが。


私も今では全巻原書で揃えましたので、今後は最初から少しずつ読んでいこうと思っています。
翻訳者のフィルターを通してのスネイプ先生、映画監督や役者さんのフィルターを通してのスネイプ先生、どのスネイプ先生を愛するかは人さまざまですが、私もできれば誰のフィルターも通さない、自分だけのスネイプ先生像をみつけていきたいので。

コメントありがとうございました。
また何かお気付きの点がありましたら、ご指摘お願いします。

フィルター無しで読んだら、きっとスネイプ教授のことがもっと好きになると思いますよ。そして他の登場人物たちのことも・・・。
その日が一日も早く来ることを楽しみしてます。^^


ありがとうございます。頑張って読んでみます!
何年かかるかわかりませんが(汗)

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はじめまして

ニ尋さま

はじめまして。
「スネイプ先生」で検索して発見、お邪魔しました。
この数日、隙あらば携帯電話を開いては覗いています。

詳しく細かく、各場面を読み込んで考察されていて、ただもう感服です!
徒歩の速度や科学的な考察…考えてもみなかった事で、そういう掘りさげ方があるんだ、すごいなあと…

私もスネイプ先生が大好きです…でもこんなにしっかり読んだことなかったなと…
悔しいです(笑)
全ての文章に先生への愛が感じられて、ああ、そうそうそうだよね!なるほど!とひとり興奮しながら読んでいます。

ハリーポッター、もっと読みたくなりました。
ますます好きになってしまったスネイプ先生…

私も、自分なりのスネイプ先生を探ってみたいと思います。

いえ、まずはこちらの記事を全部読んでから…

秘密コメントくださった方へ

更新を楽しみに日々生きてくださってありがとうございます!
最近忙しくて集中できる時間が少なく、更新の頻度が減ってしまいましたが、愛は変わりませんので、まだまだ語っていくつもりです。
身近に語れる人がいないのは同じですね。なかなか見つからないものです(笑)

ホグワーツに対する期待は大きかったろうと思います。
ジェームズは記述が少ないだけに、どうも名誉挽回するのが不利な印象です(笑)

コメントありがとうございました。
またどうぞいらしてくださいね!

はじめまして!

【もじゃさん】
もじゃさん、はじめまして。
>隙あらば携帯電話を開いては覗いています。
ありがとうございます。
しかし、当初から携帯での閲覧を想定していなかったので、一つの記事がとてつもなく長い文章になっています。2000字前後はあると思います。見にくくて申し訳ありません。

科学的な考察に感想いただけて嬉しいです。どうも、人と違ったところに興味があって(笑)、気になってしまうんです。
愛を感じていただけたことも嬉しいです。語らずにはいられないんです。
知ろうとするほど好きになりますよね♪

コメントありがとうございました。
また、もじゃさんのスネイプ先生像なども語りにいらしてくださいね!

いろんな解釈いろんな妄想

私も普通に読んでいる時は、大体同じ考えでした。両親不仲で、構ってもらえなかったんだな(涙)て。
でも、まぁ、セブルスという人を好きになると(どの人物でもでしょうが)、いろいろ妄想したくなりますよね(笑)。
この時は何してたんやろ~とか、この時何考えてたんやろ~とか。
それで、ハリーが「どうしてばかばかしいほどだぶだふの上着を脱がないのだろう?」と思った時、もしかして、セブルス少年は、だぶだふの上着がお気に入りだったのでは…と何気に思いました。家にいる時なら、お母さんに着なさいと言われるかもしれないけれど、外で、ましてや、ず~っと影から見てるくらい好きな女の子の前で、いいカッコしたいでしょうし、脱ぐのは自由です。でも何故脱がなかったのか…。
まぁ単に服が無かったのと、寒かったのかもしれませんが、以下妄想です。

私が小さい頃、男の子は風呂敷をマントにして、アニメのヒーローになりきっていました。大人から見たら、変な柄の風呂敷首に巻いて…失笑みたいな感じでしょうが、本人たちは飽きずに着ていたものです。
外国にもスーパーマンみたいなアニメがあるし、ヒーローになりたいのは古今東西の子供たちに変わりは無いと思うので、スネイプ少年がスーパーマンを見ているわけは無いけれど、彼にとってのスーパーマン(憧れ)=魔法使い(『半純血のプリンス』と名乗るくらいだし、魔法使いである事を誇りにすら感じていたのでしょう)と思っているかもしれないし、あの記憶だけ描かれていたけれど、毎日毎日着ていたかもしれません。次の描写は夏だったし、その次の描写は本物のマント=魔法使いとして正式に認定された証…を着れるのだからさっさと脱いだのかも。

 …とまぁ、いろいろ妄想しているわけです。床について眠るまでは、スネイプ祭りですョ(笑)。
どの人物、また他の小説やアニメの人物にしても、100人ファンがいれば、100通りのキャラがあるし、あちこちにファンサイトがあって、ある部分には共感もし、ある部分にはここは私と違うなぁ…と思う事もあるけれど、違う見方を発見する事で、へぇ~と感心する事もいっぱいあります。
それでもきっと、人様の意見くらいでは揺ぎ無い、皆さんそれぞれの『スネイプ像』が、頑固なまでにあると思います(笑)。
そのスネイプ像がもっとリアルになっていけば、頭の中でどんどん収拾がつかないくらい、一人歩きしていってくれたら、私は楽しいなぁと思うので、バンバン二尋さんの考え(あるいは妄想?)を教えて下さい。
 ちなみに、今、1巻から原書読んでいってます。旦那が「スネイプ、全然イメージ違うぞ。もしかしたら、他の人物も違うかも…」ていうし、仕事の合間なので、なかなか進みませんが、和書と原書ではスネイプ先生像が全然違いますよね。目からウロコ状態…。

読者の数だけ

みのんさん、コメントありがとうございます。
そして、妄想を書いてくださってありがとうございます!
他人(ひと)の妄想を見るのが好きなので嬉しいです。
あの格好は、お母さんが魔法使い的発想で着せ、本人はあまり好んでいなかったと考えた私ですが、みのんさんのお話を伺って、本人が魔法使いへの憧れから着ていたと考えることも決して突飛なことではないと思いました。本人が好んでそうしているなら救われますね。

>100人ファンがいれば、100通りのキャラがある
全くその通りだと思います。
たとえ作者がインタビューなどで人物像の正解を示したとしても、それでもやはりキャラクターのイメージは読者の数だけあると思います。

今までたくさんの方とオン、オフ共にスネイプ先生を語ってきましたが、意見が何もかもぴったり一致することなど決してありませんでしたし、だからこそ語り合うのが楽しいのだと思っています。
もちろん、まだまだ私の感じたことは語っていくつもりです。
原書を最初から読み返して語る余力があるかはわかりませんが、何度読み返しても新しい発見のあるハリー・ポッターという作品、永く付き合っていきたいです。


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