topimage

2017-09

先へ - 2009.07.05 Sun

初めて原書で7巻32章を読んだ後、33章を読み始めるまで数日かかりました。とにかくスネイプ先生の死が辛くて、もう物語の結末など、どうでもよくなってしまったのです。

スネイプ先生が遺した物がなんであるかは、私にもわかっていました。
でも、そこにあるのは過去の幻に過ぎず、スネイプ先生の生きた姿を見られないのなら、却って虚しくなるばかりだと思いました。
それに、私が先を読み進めることは、そこにスネイプ先生の遺体を置き去りにしていくような感覚がありました。
私は、ハリーの冒険に付き合うことなく、いつまでも32章に留まって、ずっとスネイプ先生の傍に居たかったのです。
きっと、次の章でハリーたちは、スネイプ先生を置いていくでしょう。
ワームテールをマルフォイ家の地下に置いてきたように。
ついさっき、フレッドですら、置いてきた彼らですから。
ハリーは前に進むしかないのですから。
ハリー視点で見ている以上、次の章に進んだら、私もハリーと一緒にスネイプ先生の遺体を置いていかなければなりません。薄暗い叫びの屋敷の冷たい床の上に……。
そうすることは、身を切られるほど辛いと思いました。
それでも、スネイプ先生が何を考え、どんな志と苦しみを持っていたか知りたい気持ちがついに勝り、結局、続きを読み始めたわけですが。
そして、今ここで、32章から離れて、次の章に進むことも、とてもとても辛いのですが、私の中でスネイプ先生が安らかに眠るためには、先に進んでその方法を探すしかないので、進みます。


私の想像とは違い、ハリーはすぐには立ち去らず、スネイプ先生の傍らにひざまずいたまま、その顔をじっと見ていてくれました。
ヴォルデモートの声がタイムリミットを告げなければ、ハリーはもうしばらくそばに居てくれたかもしれません。それとも、結局同じタイミングでハーマイオニーが冷静に「城に戻りましょう」と声をかけ、彼らはその場を後にしたでしょうか。

この時、ハーマイオニーは、スネイプ先生の亡骸(body)をちらりと見てからトンネルの入り口に向かっています。
今までずっと、単に「スネイプ」と表現されていたのに、この時突然、「Snape's body(スネイプの亡骸)」と、物のような表現をされたことに、大きなショックを受けました。
ダンブルドアの死んだ時にも使われたこのbody という言葉が、こんなに動揺を招くとは思いませんでした。
でもまだ英語の方がマイルドでした。『亡骸』は本当にキツイです。
形はそこにあるのに、そこにいないことを改めて思い知らされました。
それでも、ハーマイオニーがちらりと見てくれたことは小さな救いでした。
ハーマイオニーは冷静に次の行動を促したけれど、後ろ髪を引かれる思いは多少なりともあったのだと感じて。

そして、ハリーも、もう一度見ています。
どう感じていいのかわからなかった。ただ、スネイプの殺され方と殺された理由とに、衝撃を受けていた……。(7巻33章p.407)
とあります。
確かに、その殺され方と殺された理由は衝撃的でしたが、ハリーは何かそれ以外にも言葉にできない思いがあったような気がします。

最期のスネイプ先生は、多分、今までハリーが見たことのないような顔をしていたと思います。
32章のスネイプ先生の最期の場面では、不思議なことに、ハリーを見つけてからのスネイプ先生の表情について触れられていません。
顔色や瞳孔(目)や喉から漏れる音や、口や耳や目から出てきたものは描写されていても、喜怒哀楽はおろか、苦悶の表情だったかどうかさえ、描かれていません。お陰で、自由に想像できます。

ハリーは、今までずっと向けられていた憎しみの表情とは違うものを見せつけられたのだと、私は思っています。
とにかく真実を伝えなければ、という必死の形相を呈していたかもしれませんが、それは、ハリーの見てきた憤怒の形相とか憎しみの顔とは違うものだったと思います。もっとも、『形相』と呼べるほど表情を変える力は残っていなかった気もしますが。
そして、最期の言葉は、命令文ではあっても、命令口調ではなかったと思います。口調も表情も哀願に近いものがあったと想像しています。
その不可解さに、ハリーは戸惑ったのではないかと思っています。
何か憐れみのような、今までとは違う軟化した感情を抱き、殺され方と殺された理由に衝撃を受けたのだと思い込もうとしている気がします。
そうであって欲しいという私の願望でもありますが。

とにかく、ハーマイオニーとハリーが、先に進む前にスネイプ先生を見てくれたことで、私は多少なりとも慰められました。
そして、スネイプ先生に心を残しながらも、彼らと共に先へ進みました。


● COMMENT ●

7/7に拍手コメントくださった方へ

いつも読んでくださってありがとうございます。
私の文から愛を感じ取って下さって、ますますスネイプ先生が好きになってくださって嬉しいです。
また、7巻を読む前、6巻読了時のスネイプ先生を信じる私の気持ちに心を動かして下さったご様子、とても嬉しかったです。やっぱり私たちが見込んだ通りの、信じるに足る人物だと、世間にも知られて良かったですね。

拍手とコメント、そして励ましのお言葉、ありがとうございました!



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スネイプ先生への愛を語らずにはいられません。         

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