topimage

2017-06

迫る危険 - 2009.04.19 Sun

32章を読み始めた時、Elder Wand(ニワトコの杖)というタイトルのこの章の中に、あれほど恐ろしい内容が書かれていようとは、思いもしませんでした。むしろ、30章のタイトルの方に、大いに警戒させられました。
私が、スネイプ先生の生命の危険に気付いたのは、ヴォルデモートとの会話もだいぶ進んでからでした。
スネイプ先生は、いつから気がついていたのでしょう?


ヴォルデモートがルシウスにスネイプ先生を連れてくるよう命じた時、既にナギニは透明な球体に守られる形で宙に浮かんでいました。
学校を去ったスネイプ先生がどこに身を隠していたかわかりませんが、叫びの屋敷に入ったスネイプ先生は、ナギニの姿に、ハリーにあの重要事項を伝える時が来たと悟ったのだと思います。ハリーが、死ぬべき時に死ななければならない運命にあることを。

ヴォルデモートとの会話は、最初から少しずれていました。
ヴォルデモートが「間もなくやり遂げる」と自信のあることを言っているのに、「小僧を探すようお命じください。私めがポッターを連れて参りましょう」(7巻32章p.397)と、唐突とも思える提案をしています。
7巻1章では、聞かれたことに正確に答え、他の死喰い人の情報を否定はしても、無関係な提案を自らするようなことはありませんでした。
スネイプ先生の頭は、ハリーに伝えるタイミングを計ることで一杯になってしまったのだと思います。
そんな中、ヴォルデモートはハリーの話ではなく、杖が思い通りにならない疑問をぶつけてきました。

「わ―わが君?」スネイプが感情のない声で言った。「私めには理解しかねます。わが君は―わが君は、その杖できわめて優れた魔法を行っておいでです」(7巻32章p.398)

いつものように滑らかに言葉の出てこないスネイプ先生に、動揺を感じます。また、動揺のあるときほど、スネイプ先生は感情を出さないよう努力しているように思います。
では、この時早くも気づいていたのでしょうか。
私は、この戦いの最中、ハリー云々という前に杖の威力の不満を口にするヴォルデモートに、スネイプ先生は虚を突かれたのではないかと思っています。スネイプ先生は、杖の秘密など、何一つ知らされていなかったのですから。

杖の威力が不十分であると語るヴォルデモートの口調は静かでしたが、ハリーは傷痕の痛みから、ヴォルデモートの強い怒りを感じます。
ハリーは、無言のスネイプ先生に対し、危険を感じてご主人を安心させるための適切な言葉を探しているのではないかと思っています。
しかし、私は、スネイプ先生が漠然と危険な空気を感じてはいても、自分の命が狙われる理由に思い至らないため、ハリーへ伝える方法を画策することに集中していたのではないかと思っています。

それでも、ヴォルデモートは確実に話を進めています。
「俺様は時間をかけてよく考えたのだ、セブルス……俺様がなぜおまえを戦いから呼び戻したかわかるか?」(7巻32章p.398)
早く死の宣告をしたい様子です。
でも、スネイプ先生の方は。

そのとき、一瞬、ハリーはスネイプの横顔を見た。その目は、魔法の檻の中でとぐろを巻いている大蛇を見つめていた。(7巻32章p.398)

そして、ヴォルデモートの問いには、簡単に「いいえ」と答えたのみで、再びハリーを探すことを命じるよう申し出ています。
ああ、スネイプ先生。
こんなにも間近に死が迫っているというのに、ハリーに伝える使命のことで頭が一杯なのですね。
ヴォルデモートの苛立ちの前に、何度も何度も「ポッターめを探すお許しを」と繰り返し請う姿は、とても痛々しいです。
ヴォルデモートの怒りが極まって、ハリーがその思考を共有できるようになった時、見下ろしたスネイプ先生の顔は蒼白でした。
杖の不具合を聞きながら目をそらし、ナギニを見つめています。
なんだかわからないまま、身の危険は強く感じていて、いよいよハリーに伝える手段の選択肢の少なさを知り、必死で頭を回転させているのだと私はこの場面で感じます。

さらにヴォルデモートは杖の話を進めます。
「俺様は、三本目の杖を求めたのだ、セブルス。ニワトコの杖、宿命の杖、死の杖だ。前の持ち主から、俺様はそれを奪った。アルバス・ダンブルドアの墓からそれを奪ったのだ」(7巻32章p. 401)

この言葉を聞いたスネイプ先生に変化が表れています。

再びヴォルデモートを見たスネイプの顔は、デスマスクのようだった。(7巻32章p. 401)

スネイプ先生、この時、はっきり自分の身を脅かしているものの正体がわかったのではないかと私は考えています。
「ニワトコの杖、宿命の杖、死の杖」の知識は、スネイプ先生にもあったのだと思います。あの魔法界のおとぎ話を、お母さんから読んでもらったことがあったのかもしれません。
その名を聞いて、ヴォルデモートの言わんとしていることを理解したのだと思います。
そして、その時ではもう遅すぎたのだと思います。
この後、スネイプ先生がヴォルデモートに対して言った言葉は、
「わが君―小僧を探しにいかせてください―」(7巻32章p.401)
「わが君―」(7巻32章p.402)
「わが君!」(同)
だけでした……

スネイプ先生がここで命を落とすことになった要因はいくつかあると思いますが、ヴォルデモートの怒りの正体に気付くのが遅れたこともその一つではないかと私は思っています。
ナギニが保護されている姿を見たりしなければ、ハリーに伝える方法を考えることに集中しなければ、ヴォルデモートの怒りを鎮める何か上手い言葉を紡ぎ出すことができたと思います。それだけの能力はあったと思います。


● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://legilimens.blog68.fc2.com/tb.php/238-fa66e397
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

ダンブルドアの意図 «  | BLOG TOP |  » 存在の否定

拍手コメントについて

拍手コメントをいただいた時は、その記事のコメント欄にお返事いたします。

プロフィール

二尋

Author:二尋
スネイプ先生への愛を語らずにはいられません。         

カテゴリー

最近の記事

最近のコメント

月別アーカイブ

スクロール式になっています

前ブログからの訪問者数

リンク

このブログをリンクに追加する

最近のトラックバック

ブログ内検索

RSSフィード