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2017-05

論理的 - 2009.02.19 Thu

グリンゴッツ銀行が破られ、ハリー達にハッフルパフのカップを盗まれたことを知ったヴォルデモートは、ホークラックスの無事を確認する必要性を感じます。一つ一つのホークラックスを思い浮かべながら、ヴォルデモートは、確認の優先順位を決めていき、ホグワーツにある物を一番安全であると位置付けました。
ホグズミードに仕掛けた罠と、必要の部屋の秘密が知られていないとの思い込みと、学校にはスネイプ先生がいる、との考えからでした。

あそこの分霊箱は安全だとわかりきっている。ポッターが網にかからずしてホグズミードに入ることは不可能だし、ましてや学校はなおさらだ。(7巻27章p.243)

念のため、ハリーが城に潜入する可能性はスネイプ先生伝えようと考えますが、その理由は言うまいと考えています。信用することが愚かしいからと。
でも、信用していないとしても、ヴォルデモートはスネイプ先生がハリーを必要の部屋にまで到達させることはないと信じているようです。
先生の能力は、本当に高く買われているのだと、つくづく思います。
ホグワーツを最も安全な隠し場所だと思い込んでいるなんて。少なくともダンブルドア側だと疑っている様子はまるで見当たりません。
スネイプ先生の立ち回りの上手さに感嘆するばかりです。
さすがです。一分の隙もなかったということですね。
だいたい、スネイプ先生が命を落とすことになったのだって、先生自身の落ち度ではなくかったし、結局死んでもヴォルデモートを欺き続けることができていたのですから、天晴れだとしか言いようがありません。

ヴォルデモートも「賢い男」と認めるスネイプ先生。
ダンブルドアのように何もかもを見通し、計算されつくしての言動とは違い、限られた情報の中で臨機応変に筋道を立てて対応できる柔軟さに、私はスネイプ先生の頭の良さを感じます。
グリフィンドールの剣を届けに行った時のように、その目的を知らされないまま行動することは多々あったでしょう。その際、言われたことだけを実行していたら、これほどまでの高い評価は得られなかったでしょう。知っている情報だけで、いかに相手を納得させるか、がとても重要なポイントだったのではないかと思います。

5巻でハリーに閉心術を教える時、「一言一言、言葉の重みを計るように、考えながら話した」(5巻24章p.179)とありますが、こんな風に言葉を選びながら、慎重に文章を組み立てていたのだと思います。
6巻のスピナーズ・エンドにおけるベラトリックスとのやりとりも、全ての質問に答えています。時に巧みに論点をずらしながら。
7巻1章の会合の場面は、既に情報の信頼を得ている状態だったので大きな問題はなかったでしょうが、4巻でヴォルデモートが復活した時に2時間遅れで召集に応じ、不興を買った時など、相当危険だったのではないかとと思います。
相手も生身の人間ですから、常に想定した範囲で話が進むとは限りません。多分激しい拷問の下で、よほど冷静に柔軟に筋道を立てて説明したからこそ、その怒りを解くことに成功たのだろうと思います。
一途な愛の前に、影が薄れそうですが、論理的なな頭脳も先生の素晴らしい長所だと思います。1巻でハーマイオニーが感嘆のため息をもらしたように、私もため息が出ます。

それに引き換え、ヴォルデモートは。
必要の部屋のからくりについて、「自分だけがあの場所の、最も深い秘密を見抜いたのだから……(」7巻27章p.242)などと思いこんでいるような人では、とてもニワトコの杖の真の所有者のことまでは考えが回らなかっただろうと思い、がっくりします。
必要の部屋には、何世代にも渡って生徒たちが物を隠し続けてきたことを、ハリーは最初に足を踏み入れた時に気づいていたのに。
それだけの品々が山積みになっているのに。
自分だけだと思うなんて、なんて愚かな。
そんな奴に……。(号泣)

● COMMENT ●

杖の論理

本当にスネイプ先生は、常に論理的に物を考える人ですよね…。

前にも同じ愚痴を申し上げたかもしれませんが、私はヴォルデモートが杖の継承について自分の誤解に気づかずにスネイプ先生を殺してしまったことが悲しくて仕方ありませんでした。私たちの読者視点から見ていると解りにくいですが、ヴォルデモートってば、杖がどこにあるか大陸中を探し回って、やっとのことで以前持ってたグリンデルワルトを突き止め、生きている彼に会いに行ったわけですよね。彼が持ってた→ダンブルドアに取られた、と判っているんなら殺人で継承されるわけないじゃないですか! 真の継承法に気づけとまではいいませんが(2人の決闘は超有名なんだから、ちょっとでも頭を回せば気づけたはずですが)盗んだ杖を真に継承するために元の所有者を殺したスネイプを殺すんだったら、そもそもダンブルドアに「盗まれた」グリンデルワルトを殺したのは自分なんだから、間を2人とも飛ばして所有権が移ってるはずでしょうに。何故そこに気づかないんだ~と地団駄踏んでました。魔法族は論理的思考に弱い、とハーマイオニーが言ってたのは本当だったんですね。

そこのところ、スネイプ先生は論理性も魔法の力も両方すごく兼ね備えていて、かっこいいなぁと思います。努力の人だからこそなんでしょうね。

残る疑問

RGさん、コメントありがとうございます。
どうぞ、何度でも同じ愚痴をおっしゃってください。私もそうですから。

グリンデルワルドが生きているから、殺人で継承されたのではないと気づけるはず、とは私も思い至りませんでした!(ヴォルデモート並の思考)
全くその通りですね。何で殺す必要があると思ってしまったのでしょう。やっぱりオリバンダー老人から聞かされた血塗られた歴史からそう判断してしまったのでしょうか。
しかも、ハリーと対峙した時、ハリーは順序立てて真の所有者が誰だったか説明したというのに、聞く耳も持たないとは。
スネイプ先生の論理性が引き立ちますが、かつて一度はスネイプ先生が心酔した相手なら、もう少し賢くあって欲しいものです。

しかし、ヴォルデモートを倒した後のハリーのニワトコの杖の扱いにも疑問は残ります。
あれは単に杖の歴史の空白期間を作るだけのような気がします。
別な杖を使っていても負ければ所有権は移動するんですよね?ドラコのように。
ヴォルデモートのいなくなった平和な世界では、闇祓いの職に就いても杖の忠誠心が移動するような事態にはならない、ということでしょうか?実戦のないままハリーは一生を終えるのか、無敗で終えるということなんでしょうかね。
まあ、そもそもサンザシの杖だってドラコの手からもぎ取っただけなのに、所有権が移動する、ましてや手にしてもいないニワトコの杖の所有権まで、というのもどうも納得いかないのですけど。でも、そんな都合のよさには目をつぶらないと、やっぱりファンタジーは成り立たないのですよね?


ヴォルデモート

>かつて一度はスネイプ先生が心酔した相手なら、もう少し賢くあって欲しいものです。

確かにそうですね。鋭い頭脳と魔法の知識に惹かれたのかと思っていたのに、7巻での姿は「あまり論理的でない」を通り越して「まぬけ」でしたし…。悪者が賢くてこその英雄なので、ハリーが輝かないという意味でも結構残念でした。セブルス少年は、ただ誰でも良いから自分の価値を正しく認めて評価してくれる父親的存在が欲しかったのでしょうか? あぁ、哀れです。

ヴォルデモートの思考力という意味では、ハリー殺しのシーンもがっくりですよね。そもそもリリーに生きるか死ぬかの選択を与えたことがヴォルデモートの立場からしたら致命的な失敗だったわけで、それを「理解した」ってあれだけ墓場で偉そうに言ってたのに、なんで解ってないの~と。大体「一家全員殺す、スネイプが何と言おうと無視」とやっていたら今頃ハリーも予言もなかったんですよね。だからスネイプのせいだ~と八つ当たりしないのは偉いにしても(復活直後にしたのかもしれませんが)もう二度と誰にも選択の機会は与えないぞ、と学んでよいはずのところ、どうして同じ失敗などするのでしょうか。杖の継承などについての態度を見ていると、とにかく殺人に固執してるだけの性格異常者みたいですが(実際そうなんでしょうが)その彼が、きっと人生で唯一ともいえるような良いことをしたせいで(二度とも)不利を引き起こし我が身を滅ぼしたのである、という結論というか教訓の部分が納得いきません。

セドリックとスネイプの死に方に着目して「良い行いをすると、それをした *せいで* 無惨な死に方をすることになっているのは、虚無主義的で気が滅入る」とおっしゃっている方がいましたが、なんとヴォルデモートまで同じパターンじゃないか、と気づいた時には少々ゾッとしました。

Re: ヴォルデモート

RGさん、再度コメントありがとうございます!

>父親的存在が欲しかったのでしょうか? 
私もそんな風に思っています。
何を以て「父親的」というのか、私の中ではまだ十分煮詰まっていないのですが、ヴォルデモートやダンブルドアに求めたものはそういうものかな、と思っています。


> きっと人生で唯一ともいえるような良いことをしたせいで(二度とも)不利を引き起こし我が身を滅ぼしたのである、という結論というか教訓の部分が納得いきません。
ヴォルデモートがリリーを瞬時に殺さなかったのは、本当に驚きでした。有無を言わさず殺すと思ったのですが、セブルスの頼みを一応は聞き届けてくれたのですよね。本当に意外です。
気が付きませんでしたが、あのリリーの護りは、選択の機会によって発動したのですか?
選択の機会は与えなくても先にリリーを殺せば魔法はかかったような気がします。
少なくとも同時に、あるいはリリーを殺さず失神させるだけにとどめておけば、ハリーは確実に仕留められたでしょうに。ここは、リリーを殺したためにヴォルデモートは身を滅ぼしたのだと私は解釈しました。

>良い行いをすると、それをした *せいで* 無惨な死に方をすることになっている
これは私はピーターの死の場面で思いました。ほんの少しの慈悲の心が死に繋がる場面は、ヴォルデモートの冷酷さの強調というより、作者の無慈悲を感じてしまいます。

脱線したまま引っぱってしまいすみません

>リリーを殺したためにヴォルデモートは身を滅ぼしたのだと

それが真っ当な解釈ですよね! そう思いこんでいたので私は7巻でジェームズとリリーの死が全く同一の様子に描かれていたことがショックでした。ジェームズは敵を攻撃したけど、リリーはハリーに意識を集中していたとか、何かそういう描写を期待していたので。

のちにJKR氏の6巻後のインタビューを読むと、
http://www.accio-quote.org/articles/2005/0705-tlc_mugglenet-anelli-1.htm
「なぜジェームズの死はリリーとハリーを護ることにならなかったのか訊きたくない? ご質問がそのまま答えよ。リリーは生きることもできたのに死を選んだの。ジェームズはどっちみち死ぬ予定だったからよ。わかる?」ということをおっしゃっていて、ああだからあのような描写になったのだ、と今更「がーん」という気持ちでした。

同じインタビューの最後では「リリーは自分の犠牲がどのような効果をもたらすか知っていたか?」という質問に「いいえ、何故なら今までに一度も起きたことがなかったことだから。(ハリーのように)生きのびた人はいなかったの。だからそんな効果が出るとは知りえなかった」ともおっしゃっていますが、私には、この状況理解のもとでリリーが死を選ぶ方が「勇敢」だという理屈が、どうしても判りません。母になったことがないから想像が及ばないのかもしれませんが、我が子をみすみす目前で殺されて自分だけ生き延びなければならない羽目に陥るのと、どっちみち息子も死ぬだろうけど(そう思ってたってわけですよね)その現場を目撃する羽目になる前に「先に殺して!」と頼むのとでは、明らかに後者の方が「楽」な選択で、卑怯とまでは呼ばずとも身勝手な無責任と思えてしまうのですが…。その選択が勇敢とは、一体どういったわけなのかと謎で仕方ありません。

…ああ、また毒吐きになってしまいました。申し訳ありません>_<

難しくて

よく飲み込めないのですが、つまり、リリーは、「どけ」と二度言われて、退くという選択肢もあったというのに、「私を殺して!」と言ったために、それが護りになったというのですね?
自分がヴォルデモートを食い止めて妻子を護ろうとしたジェームズは、「どけ」と言われなかったから護りにはならなかったと。
ローリングさんは、自分が生きられる可能性があるのに敢えて死を選んだことを「勇敢」と言うのですね。
う~ん。これが親子の間のことでなかったら、そうかもしれないけれど、私はこの場面、「勇敢」でも「楽」でもなく、「自然」だと思いました。
息子ではなく自分を代わりに殺して、と言うのは(たとえそれが叶わないとわかっていても)、次の世代を残そうとする生物の本能のような気がします。
ローリングさんにとっては、命を投げ出すことが、とても尊いことに思えるのかもしれませんが。

RGさん、いつもコメントありがとうございます。
脱線、毒吐き構いませんよ~(笑)


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