2008年08月05日 (火) 21:44 | 編集
日本語訳を読んで、原書とのイメージの違いはいくつかあったのですが、その中で一番気になった部分は、実はとても意外な場所でした。
元々注目していた気になるセリフの訳語より、もっとずっと違和感のある場所があったのです。スネイプ先生の人物像にも影響を及ぼすのではないかと思うくらいの。
それは、33章のある二つの描写でした。
一つは、ヴォルデモートが近々学校を掌握するだろうことを踏まえて、ダンブルドアがスネイプ先生に生徒たちを守ることを確認する場面です。
原文はこうです。
stiff(断固とした、意を決した)
curt(ぶっきらぼうな、そっけない)
私には、生徒を守ることに同意する頷きと、依頼された殺人を承知する頷きが同じ質のものだとは思えません。一般的な見方というより、スネイプ先生ならそうしないだろう、という思いです。
私は、生徒たちを守ってと言われたスネイプ先生は、信念を持って固く頷いたのだと考えています。ダンブルドアに頼まれたから生徒たちを全力で守ったのではなく、自分の意志で生徒を守ったのだと信じています。
また、ダンブルドアに「きみがわしを殺さねばならぬ」と言われたスネイプ先生は、自分の気持ちに反して不承不承頷いたのだと解釈しました。
だから、日本語訳で二つの頷きが同質のように表現されたことはとても心外です。
anotherには「もう一つの」という同列の言葉を示す時と、「別の」を示す時があって、それは文脈から判断すれば良いと聞きました。私は二つの頷きは違うもので、二度目の方は、「また」ではないと思っています。
この部分の頷きの意味をどう解釈するかは、それぞれの読者に委ねられると思いますが、せめて違う形容詞がついていたことがわかるような表現だったら良かったのに、と思います。
日本語訳のみの読者の方にも、是非、その違いは知って欲しいです。
元々注目していた気になるセリフの訳語より、もっとずっと違和感のある場所があったのです。スネイプ先生の人物像にも影響を及ぼすのではないかと思うくらいの。
それは、33章のある二つの描写でした。
一つは、ヴォルデモートが近々学校を掌握するだろうことを踏まえて、ダンブルドアがスネイプ先生に生徒たちを守ることを確認する場面です。
もう一つは、その直後、ダンブルドアが自分を殺すように言い含め、結局承知させる場面です。「きみは、全力でホグワーツの生徒たちを守ると約束してくれるじゃろうな?」
スネイプは短く頷いた。(7巻33章p.443)
ここが、まるで同列かのような「短く頷いた」と訳されたことにとても違和感を覚えました。ついにスネイプは、また短く頷いた。(7巻33章p.445)
原文はこうです。
nodは頷きの意味ですが、その前にある形容詞が違っています。‘I have your word that you will do all in your power to protect the students of Hogwarts?’
Snape gave a stiff nod.(p.547)
(中略)
At last Snape gave another curt nod.(p.548)
stiff(断固とした、意を決した)
curt(ぶっきらぼうな、そっけない)
私には、生徒を守ることに同意する頷きと、依頼された殺人を承知する頷きが同じ質のものだとは思えません。一般的な見方というより、スネイプ先生ならそうしないだろう、という思いです。
私は、生徒たちを守ってと言われたスネイプ先生は、信念を持って固く頷いたのだと考えています。ダンブルドアに頼まれたから生徒たちを全力で守ったのではなく、自分の意志で生徒を守ったのだと信じています。
また、ダンブルドアに「きみがわしを殺さねばならぬ」と言われたスネイプ先生は、自分の気持ちに反して不承不承頷いたのだと解釈しました。
だから、日本語訳で二つの頷きが同質のように表現されたことはとても心外です。
anotherには「もう一つの」という同列の言葉を示す時と、「別の」を示す時があって、それは文脈から判断すれば良いと聞きました。私は二つの頷きは違うもので、二度目の方は、「また」ではないと思っています。
この部分の頷きの意味をどう解釈するかは、それぞれの読者に委ねられると思いますが、せめて違う形容詞がついていたことがわかるような表現だったら良かったのに、と思います。
日本語訳のみの読者の方にも、是非、その違いは知って欲しいです。
この記事へのコメント
いつも深い洞察に感心しながら拝見しておりました。二つの「短く」にそんな違いがあったとは!翻訳版だけでは全くわかりませんでした。
私は残念ながら英語は得意ではないのですが、ダンブルドアの言葉も「約束」することの確認より、スネイプ先生が当然生徒たちを守るであろうと予想しての念押しと取れるような・・・先生のホグワーツへの愛を確かめられて嬉しかったです^^
ありがとうございました。
私は残念ながら英語は得意ではないのですが、ダンブルドアの言葉も「約束」することの確認より、スネイプ先生が当然生徒たちを守るであろうと予想しての念押しと取れるような・・・先生のホグワーツへの愛を確かめられて嬉しかったです^^
ありがとうございました。
2008/08/06(水) 20:33 | URL | もま #tHX44QXM[編集]
もまさん、はじめまして!
私は原書を読んだ時、スネイプ先生がリリーへの愛だけではないものを持っている、と感じたんです。
その理由の一つがこの頷きでした。先生は、ダンブルドアに言われても言われなくても、生徒を守ろうとしたに違いないと感じられる頷きでした。
そこを感じ取ってくださって嬉しいです。
コメントありがとうございました。また是非、いらしてくださいね。
私は原書を読んだ時、スネイプ先生がリリーへの愛だけではないものを持っている、と感じたんです。
その理由の一つがこの頷きでした。先生は、ダンブルドアに言われても言われなくても、生徒を守ろうとしたに違いないと感じられる頷きでした。
そこを感じ取ってくださって嬉しいです。
コメントありがとうございました。また是非、いらしてくださいね。
2008/08/06(水) 21:26 | URL | 二尋 #tcb4VS3Y[編集]
翻訳にはがっかり…という人をよく聞きますね…
翻訳版しか読んでいなかったので
知りませんでしたが…
ローリングさんは何故
違う表現をしたのかということを考えて
翻訳してほしかったですね…
翻訳版しか読んでいなかったので
知りませんでしたが…
ローリングさんは何故
違う表現をしたのかということを考えて
翻訳してほしかったですね…
stiffからはスネイプ先生の意志、決心が感じ取れます。
ご指摘の通り、自発的なものだと私も思います。
ハリー・ポッターはストーリーが魅力的なので読み進めてしまいますが、初めて手にした際に感じたあの日本語としての違和感は未だ拭い去れていません。それでも以前ほど感じないのは、慣れてしまったのかな(汗)
ローリング氏の意図を汲み取るためにも、こうした精査は必要ですね。
頭がさがります。
ご指摘の通り、自発的なものだと私も思います。
ハリー・ポッターはストーリーが魅力的なので読み進めてしまいますが、初めて手にした際に感じたあの日本語としての違和感は未だ拭い去れていません。それでも以前ほど感じないのは、慣れてしまったのかな(汗)
ローリング氏の意図を汲み取るためにも、こうした精査は必要ですね。
頭がさがります。
2008/08/07(木) 10:15 | URL | koba #-[編集]
【永遠さん】
コメントありがとうございます!
翻訳にがっかりしたわけでは、全くないのですが、スネイプ先生の人物像に影響するような文章は、できるだけ正確に訳して欲しいと思ってしまいます。ここは、私が以前からとても大切に考える場所だったので、特にです。
コメントありがとうございます!
翻訳にがっかりしたわけでは、全くないのですが、スネイプ先生の人物像に影響するような文章は、できるだけ正確に訳して欲しいと思ってしまいます。ここは、私が以前からとても大切に考える場所だったので、特にです。
2008/08/07(木) 21:31 | URL | 二尋 #tcb4VS3Y[編集]
【kobaさん】
kobaさんも同様に感じていらっしゃいましたか!
7巻では、スネイプ先生のリリーへの愛に注目が行きがちですが、生徒たちへの愛もあったと私は思っています。少なくとも、原書を読んだ時はそう思いました。
既にイメージに出来上がった本の翻訳に違和感があるのは当然だと思いつつ、これだけは知って欲しいということを書かずにはいられません。
kobaさんも同様に感じていらっしゃいましたか!
7巻では、スネイプ先生のリリーへの愛に注目が行きがちですが、生徒たちへの愛もあったと私は思っています。少なくとも、原書を読んだ時はそう思いました。
既にイメージに出来上がった本の翻訳に違和感があるのは当然だと思いつつ、これだけは知って欲しいということを書かずにはいられません。
2008/08/07(木) 21:40 | URL | 二尋 #tcb4VS3Y[編集]

