topimage

2017-11

スネイプ先生とジェームズ - 2007.07.01 Sun

ドラコと共に逃走するスネイプ先生と、二人を追うハリー。
どちらの側からも味方だと思われているスネイプ先生は、攻撃を受けることなく、無傷のまま通り過ぎていきました。ハリーも懸命に追いますが、たびたび死喰い人の妨害が入り、追いつけません。
校庭に出て、もう少しで校門、というところで、スネイプ先生はドラコを先に走らせ、ハリーと対峙しました。

ハリーが次々に繰り出す呪いを、スネイプ先生はことごとくかわします。全て呪いを最後まで言い切らないうちに。煩わしげにわずかに腕を動かすだけでハリーの呪いをかわしたり、薄ら笑いを浮かべる先生には、この時はまだ随分と余裕が感じられます。「戦え、臆病者―」と言われた時もまだ多少余裕がありましたが、「臆病者」にはきっちり反応しています。
「臆病者?ポッター、我輩をそう呼んだか?」
「おまえの父親は、四対一でなければ、決して我輩を攻撃しなかったものだ。そういう父親を、いったいどう呼ぶのかね?」(6巻28章p.431~432)

今までスネイプ先生のことを色々考えてきた中で、最も自分の考えがはっきりしなかった部分が、スネイプ先生とジェームズの関係です。どうにもジェームズの人物像が定まらないので、極力触れずにきました。が、スネイプ先生がホグワーツを去る直前のもっとも緊迫したこの場面で、自らジェームズを引き合いに出し、憎しみを露にしています。
これほど現在のスネイプ先生に影響を及ぼしているジェームズについて、そろそろ本気で考えないとスネイプ先生のこともよくわからないままになりそうです。


「ジェームズとスネイプは、最初に目を合わせた瞬間からお互いに憎み合っていた。そういうこともあるというのは、君にもわかるね?」(5巻29章p.390)では納得できません。ジェームズとスネイプ先生は、お互いの何が嫌いだったのでしょう?

「スネイプはいつも闇の魔術に魅せられていて」「スネイプは学校に入ったとき、もう七年生の大半の生徒より多くの『呪い』を知っていた」(4巻27章p.264)とシリウスが言っています。
また、シリウスは「ジェームズは(中略)どんなときも闇の魔術を憎んでいた」(5巻29章p.390)とも言っています。
入学早々、闇の魔術に魅せられているということを隠しもしなかったセブルス少年は、闇の魔術を無条件で憎むジェームズに嫌われたということでしょうか。どんなときも闇の魔術を憎むジェームズにもそれなりの理由があったのかもしれませんが。
私のイメージのジェームズは、それほど深く物を考えている人ではありません。優しい両親の愛をたっぷり受け、素直で無邪気で世間知らずで、両親の説く闇の魔術の弊害を頭から信じていて、さほど努力しないでも授業は理解できるほど頭はよいけれど、人の痛みはわからない人。
多分、学生時代にはセストラルも見えず、目に見える世界を謳歌していた人。無垢で残酷で危険なものを面白がる、言ってみれば最も少年らしい人。動物的に、無意識のうちに序列が決まり、弱いものを見下す人。今時の幸せな家庭に育つ、良くも悪くも普通の少年のイメージです。
普通の少年も、年を重ねるに従って、人の死に直面したり、挫折したり、色々な経験を積んで、大人になっていきます。ジェームズも、そんな風に大人になっていく中で、リリーと付き合い始めたのではないかと思います。付き合い始めたのが7年生だったということは、暴れ柳事件より後だと思われますから(暴れ柳事件時、シリウスは16歳)、悪戯も一歩間違えば同級生が死ぬかもしれない危険性を持っていることや、危うく友人に殺人をさせてしまうところだったと気づいたことによって、一歩大人に近づいたのではないかと思っています。
そして、結婚し人の親となって、またジェームズは一つ大人になったのだと思います。子どもを護ろうとして命を懸けたジェームズやリリーの反応は、人の親である私にとっても十分理解できる範疇にあります。
そんな、言ってみれば普通の人代表、のように私はジェームズを捉えています。
少年時代においてジェームズがセブルスを憎んでいたのは、たいして深い意味もなく、闇の魔術に魅入られた異質な者を排除しようとしていたからではないかという気がします。そこにどんな事情があったかなど思い至らないほど幼かったのではないか、という気がします。

一方、セブルス少年がジェームズを嫌う理由もよくわかりません。「ジェームズは、スネイプがなりたいと思っているものをすべて備えていた」(5巻29章p.390)というのも疑わしいです。
考えてみれば、私のセブルス少年に対するイメージもまた曖昧です。
まわりとの関係が希薄で、子どもっぽい同級生達には目もくれず、自分の興味ある闇の魔術や魔法薬学の研究開発にのめり込んでいたようなイメージがある一方、ジェームズたちとは憎しみながらも積極的に関わっていたようにも見えます。セブルス少年は、他人に対する関心もあったということでしょうか。以前書いたような、集団に帰属したいという所属愛の欲求や、集団の中で認められたいという自我の欲求があったということでしょうか。だとすると、「スネイプがなりたいと思っているものすべて」という発言通り、集団の中で認められるジェームズやシリウスを妬ましく思っていたということも頷けます。
本当は、四対一でしか攻撃できないような臆病な男が、あたかもヒーローのように、華々しく生活する様子が見るに耐えなかったのでしょうか。それは裏返せば、やはり自分もそうありたい気持ちの表れのようにも見えます。全くマイペースで自分の世界だけを好むのなら、他人がどんな傲慢な態度であっても気にならない気がします。本当は人と関わりたいけれどうまく関われない自分への憤りを、ジェームズへの憎しみにすり替えていたのでしょうか。
セブルス少年が、本当は何がしたかったのか、よくわかりません。
闇の魔術や魔法薬への興味も、単なる知的好奇心では済まされないものがあるような気がしています。


この場面では、臆病だと思うジェームズと同等の言い方をされて憤っているように見えますが、後に叫ぶ「臆病者」ではどうなのか。
「臆病者」に込められた意味については、もう少し考えたいと思います。

● COMMENT ●

憎しみ合う二人

二尋さんこんにちは☆ 「スネイプ先生とジェームズ」読みました。 私もこの二人がこんなにも憎しみ合う理由って一体どんな事だろう?ってずっと考えています。でも私は二尋さん程深く読み込めていないので、二尋さんの意見を読んで改めて二尋さんの事尊敬しました~!! 素晴しいですね! 私は単に、スネイプ先生は幼い頃から家庭内においても愛情に恵まれずとにかく愛に飢えていたから、愛のある家庭に育ち友人やみんなに囲まれ、生きるエネルギーをみなぎらせているジェームズを妬んでいたんだと思っていました。 でも二尋さんのコメントを読んでそんな事だけではないもっと深いところに、二人の関係をこんな風にさせる何かがあるはずと私も共感しました。  セブルス少年は入学時から闇の魔術に魅せられていた 

続き

という事ですが、そんなにあからさまに「こいつ、闇の魔術にどっぷり浸かっているぞ」なんて分かるものなのでしょうか? セブルス少年はそれを別に隠しはしなかっただろうけど、そうは言っても入学時は二人ともまだたった11歳なのに。二尋さんの言う通り、「最初に目を合わせた瞬間からお互い憎しみ合っていた」では私も納得できません。 もしかして二人を徹底的に憎しみ合わせる何かが、入学早々に起こったのではないかと思います。目が合った瞬間に憎み合い、隙あらばお互いに呪いを掛け合っていた、そんな事がズルズル続いているだけで、あそこまで憎しみ合うのは異常ですよね・・・。  ジェームズが闇の魔術を憎んでいるのには、ポッター家が「純血の家系」である事に大きく関係していると思います。 大体スネイプ先生が純血である母親の姓「プリンス」を名乗っていたのも、マグルを憎み純血を誇りに思っていたからなのだったら、当然純血生まれのジェームズを憎む理由の一つではあるでしょうけど。  それとセブルス少年が所属愛や自我の欲求があったのか、というのには私はイエスだと思います。愛に飢えていたのならなおさら。スリザリン寮では一応、後にデスイーターを多く排出したグループにいたようですが、それも形だけだと思います。 人と関わりたい、心からそう思っていても、スリザリン寮に組み分けされた時点で儚き願いでしょう。だってみんな狡猾なんですから。みんな腹の底では何を考えているか分からない、誰が信用出来る者なのか分からない、そういう人でセブルス少年の周りは溢れていたんでしょう。セブルス少年もきっと周りからはそう思われていたんでしょうね(;ー;) それに4対1でしか攻撃出来ないジェームズやシリウスが、“勇気溢れる”グリフィンドール寮に組み分けされているという事も、気に入らなかったのかもしれませんね。 私はスネイプ先生贔屓でつい先生の側からいろいろ考えてしまうので、ジェームズが一体どういうつもりで、どんな理由があってセブルス少年を憎み、いじめていたのか、本当に良くわかりません(>へ<) スネイプ先生が初めて自分を認められた組織がデスイーター集団だったのだとしたら、すごく悲しいです。その前にリリーか、もしくは別の誰かに存在を認められ、「生きている」と言う事の意味を感じてくれていますように・・・。ダンブルドア先生、どうか彼を救ってあげて~!!

寂しいがゆえの・・・

私は先生ほど悲惨ではなかったかもしれませんが、小5、6の時、ものを壊されたり、生徒全員の前でなかされても、誰も気にかけてくれないほど、クラス全体から嫌われていました。そんなとき唯一の友達が本でした。先生みたいに研究していたわけではありませんが。休み時間は常に本、本、本・・・。そこしか居場所がなかったし、そうしたら、攻撃されることもほとんどなかったからです。先生にもそんな感じのものがあったのではないでしょうか。知的好奇心ももちろんあったのでしょうが、孤独の打開法がそれしかなかったのかもしれません。時がたつにつれてますます嫌われていくし、そのせいで本や闇魔術の世界からでられず、さらにはまりこんでいったのではないかと思います。

願望

ジェームズへの考察は、的確だと思いました。今まで疑問に感じていたことが大部分解消されました。

対して、スネイプ先生は少年時代から全く理解できません(涙)
ただ、スネイプ少年にも認められたい、愛されたいという欲求はあったように思います。推理・推測というよりも願望ですが…十一歳の少年が既に愛されることを諦めている、愛への期待を捨てきっているという想像は悲しすぎました。

ちょっと話が逸れそうなので、この辺で切っておきます(汗)
また記事を楽しみにしております。

痛々しい想像ばかり

【ミッフィーさん】
コメントありがとうございます。
>「こいつ、闇の魔術にどっぷり浸かっているぞ」
どうして、7年生の大半より呪いを知っている、ということをシリウスが知っていたのか不思議です。
自ら披露しないかぎり、多くの呪いを知っていることなど回りに知れないでしょうから。
ということは、やはり、ジェームズと何かあって、呪いをかけまくったのかもしれないですね。過剰防衛する姿を想像すると、それはそれで痛ましくて泣けてくるのですが。

>ジェームズが闇の魔術を憎んでいるのには、ポッター家が「純血の家系」である事に大きく関係していると思います
ジェームズが闇の魔術を憎む理由を私はあまり深いものだと捉えていませんでしたが、彼にも心の傷が無いとも限りませんよね。何か重大な出来事が過去にあったかもしれません。

>人と関わりたい、心からそう思っていても、スリザリン寮に組み分けされた時点で儚き願い
>だってみんな狡猾
スリザリンでは、「もしかしてまことの友を得る」とも言われています。狡猾とか、野望を好むとか、ちょっと失礼な判断基準が多いのですが、場合によっては、スリザリン寮でも本当の友達を得られるのかもしれません。せめて居場所はあったと思いたいです。

居場所

【アーロサニカさん】
コメントありがとうございます。
本に居場所を求めていたするアーロサニカさんの説から、それは家庭においてもそうだったのではないか、と思いました。
入学前から多くの呪いを知っていたのは、家にあった本からの知識で、家で本に没頭したのは、不仲な両親から逃れたくて、そこに居場所を求めたのかもしれない、と思ってしまいました。このように考えたことは今までなかったのですが。
家庭においても、学校においても、居場所のないセブルス少年は、あまりにも可哀想で、辛くなってしまいました。できれば本を逃避としてではなく、知的好奇心を満たすプラスの媒体として使って欲しいものです。

未だ定まらない

【鬼百合さん】
ジェームズに対する愛は、全然足りないので(汗)、なかなか想像も難しいです。
スネイプ先生は少年時代、いったい何をしたかったのか、人とかかわりたかったのか、それは友達なのか、親なのか、それとも「愛されたことがある」思い出で十分で、ただ力が欲しかったのか、本当によくわかりません。闇の魔術や、魔法薬の開発が面白くてたまらないと感じている姿も、逃避のためや、恨みを晴らすための手段としてのめりこんでいる姿も、どちらもあり得るように思えて。だって魔法薬学でも闇の魔術に対する防衛術でも、初授業では実に饒舌に愛を込めて語っているのです。逃避だけとは思えません。

3/18に拍手コメントからご質問くださった方へ

お返事遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。

ご質問のシーンは残念ながら本文にないと思います。
実際、ジェームズとの会話は、原作中ではかなり少ないです。
確認が十分ではありませんが、5巻28章と7巻33章くらいだと思います。

ただ、プリンスの持ち物だった「上級魔法薬」の教科書に書き込まれた文字(過去にセブルスが書いた文字)を見て、ハーマイオニーが「その筆跡は男子より女子のものみたいだと思うわ」(6巻10章p.294)と言っています。
また、5巻28章でスネイプ先生の記憶に入ったハリーが、その文字を見て、「字が細かくてびっしり書かれている」(p.346)と感じています。
細かい字で、女の子の筆跡のように感じられるものだったのは、確かだと思います。


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://legilimens.blog68.fc2.com/tb.php/174-104f6bf0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

最後の指導 «  | BLOG TOP |  » 逃走中のスネイプ先生

拍手コメントについて

拍手コメントをいただいた時は、その記事のコメント欄にお返事いたします。

プロフィール

二尋

Author:二尋
スネイプ先生への愛を語らずにはいられません。         

カテゴリー

最近の記事

最近のコメント

月別アーカイブ

スクロール式になっています

前ブログからの訪問者数

リンク

このブログをリンクに追加する

最近のトラックバック

ブログ内検索

RSSフィード