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2017-11

嫌悪と憎しみ - 2007.06.17 Sun

4人の死喰い人に促されてもドラコはダンブルドアを殺すことができず怯えて立っていました。そこへ現れたのがスネイプ先生。すばやくあたりを見回し、ダンブルドアや死喰い人達、ドラコへと視線を走らせました。
状況をすばやく読んでいるのだと思いました。いつだってそうでした。スネイプ先生は、その場の空気をすばやく読み取る人です。
その時、スネイプ先生の名をひっそりと(quite softly)呼ぶ声が聞こえました。ハリーを怯えさせる懇願する声で。無言で進み出たスネイプ先生は、ドラコを荒々しく押しのけダンブルドアを一瞬見つめます。

その非情な顔の皺に、嫌悪と憎しみが刻まれていた
「セブルス…頼む…」
スネイプは杖を上げ、まっすぐにダンブルドアを狙った。
「アバダ・ケダブラ!」(6巻27章p.422)


ついにこの場面まで来てしまいました。6巻について語り始めて1年あまり経つのに(!)、私の先生像は相変わらず定まっていません。先生がどういうつもりで死の呪文を唱えたのかいまだにわからないのですが、やはりこの時のスネイプ先生は、とても苦しんでいるように思えます。
まとまらないまま書きます。考察でもなんでもありません。

この時、スネイプ先生は自分の部屋にいたことが、後のハーマイオニーたちの証言からわかっています。
自分が不在の間、騎士団員を警護にあたらせていたダンブルドアですが、校内にいて当然のスネイプ先生が警護にあたらず、部屋にいるのは不自然です。二重スパイですから、自分の判断だと思われるような動きはせず、人に呼ばれて動く形をとっていたということでしょうか。状況に応じて動けるようにしていたのではないかと思います。どちらの側にもとれるように動き、先生は無事塔の上に到着しました。
すばやくあたりを見回し、どう動くべきか状況を読んでいたところに、ダンブルドアの声がかかったのではないかと思いました。ひっそりと呼ぶダンブルドアの声。ハリーを怯えさせたというその声にスネイプ先生もまた怯えたのではないでしょうか。
「ひっそりと」と訳されている「quite softly 」は、私は原書で読んだ際、優しくなだめるような声を想像しました。
前回書いたように、私はダンブルドアとスネイプ先生の間でいくつかの選択肢が用意されていたのではないかと思っています。その一つがダンブルドアを殺すこと。それを19章で提示して、拒否したスネイプ先生に強く言い聞かせていたのではないかと思っています。
ドラコを助けられないような状況の今、残された選択肢を教えるために、声をかけたような気がします。quite softly に。親が子どもを宥め優しく諭すように。

無言で進み出るスネイプ先生は、狼男でさえ怯えさせるオーラを放っていたようです。その顔にハリーが見てとった嫌悪と憎しみは、やはり自分にこのようなことをさせることへの憎しみ、そして自分自身への嫌悪と憎しみの表情に思えます。少なくとも、優秀な閉心術士であるスネイプ先生が、表情に感情を込めたのは、そこには何も計算はなく、ありのままの姿で立っていたような気がします。
スネイプ先生、とても苦しそうです。かわいそうに。

以前、コメントでいただいたことがありましたが、ダンブルドアがハリーに、場合によっては自分を置き去りにせよと命じ、実際水盆の水薬を何があっても飲み干させるよう言い聞かせた姿を思い出します。この時のハリーも大変辛そうでしたし、自分自身を嫌悪し、憎んでいました。
ダンブルドアは、同じことをさせているのでしょうか。それがどれほど辛いことなのかわかってやっているのだとしたら、私もやはりダンブルドアを許せません。
6巻読了直後からの疑問ですが、ダンブルドアはそこまで冷徹な人物なのでしょうか。そんな風にはとても思えないのですが、ここで全くダンブルドアの依頼なくスネイプ先生が死の呪文を唱えたと考えることも私には辛くて、ダンブルドアに悪役を押し付けたくなってしまいます。ハリーがダンブルドアに、何があっても水薬を飲ませると誓わされたように、スネイプ先生もまた、何かの誓いに従い、その誓いを破れない自分を憎んだのでしょうか。
(後に「臆病者と呼ぶな」と激昂したスネイプ先生の姿を考えると、それが図星であったと思うのですが、自分の何を臆病と感じたのか気になります。その点はまた後日考えてみますが)

あくまでもスネイプ先生はヴォルデモート側で、死喰い人の手前もあってダンブルドアに手をかけたとしても、一瞬見つめた間に葛藤があったはずです。でなければ、そんな嫌悪と憎しみの表情が現れることなく、さらりと実行したに違いありませんし、後に臆病者に反応することもなかったでしょう。

いずれにしても、このダンブルドアを見つめた一瞬、スネイプ先生は色々な覚悟を決めたのだろうと思うと、痛ましくてなりません。
どうか今後、何があっても投げ遣りな気持ちになりませんように。

● COMMENT ●

素朴な疑問

初めまして!!初コメントいたします(0^0^0) 私もスネイプ先生をこよなく愛しています。本当に魅力的で、言動も色っぽくてクラクラしちゃいますぅぅ・・・(困)↑↑ 7巻の発売が本当に待ちどうしいですね!!あらゆる謎が全てすっきりと解決される事を祈るばかりです。そしてスネイプ先生、どうかどうか死なないで・・・!!(;へ;) ところで私、ずっと疑問に思ってた事があるんですけど・・・(てかむしろどうでもいいつまらない事なんですけど 笑)聞いてもらえますか??
 ①監督生のお風呂がある、ということは生徒の浴室はあるわけで、じゃあ先生の浴室ってあるの??  それとも先生たるものわざわざお風呂に入らなくても、「スコージファイ!清めよ!」なんかの呪文で綺麗にしちゃうんでしょうか。・・・スネイプ先生のお風呂シーン・・・ あの黒髪から雫がしたたっている場面を想像しただけで・・・ 激萌え~~!!(#゜д゜#)・・・な私なのです。  ②ハリーのメガネは誰が買った??  これはかなりの謎です。バーノンおじさん??クリスマスにゴミ同然のものを贈ってよこすあのケチなおじさんが?? ハリーはホグワーツから招待を受けるまで自分が魔法使いだとは知らなかったわけだから、魔法で出したとは到底有り得ない・・・ しかもホグワーツに入学するとき、両親のおかげで自分にはたくさんのお金があると知ったのに、どんなに壊れても「レパロ、直れ」で修理して新しいものを買おうとしない・・・ バーノンおじさんに買ってもらったものなら、そんなにずっと大事にしている意味が分からないんです。 ・・・本当につまらない事考えてますね~私って(^^;) でもたまには大筋から逸れて、こんなサブの疑問を考えるのも楽しいハリーポッターなのでした☆

はじめまして!

ミッフィーさん、はじめまして。

7巻のスネイプ先生の運命、気になりますね。無事生きのびて、穏やかな時間をすごせるようになって欲しいと思います。

さて、疑問点についてですが、私も同様に気になります。
作品中では明らかにされていませんが、監督生のお風呂の豪華さは、教授のお風呂がそれ以下ではありえないことを示していると私は思っています。実際は、それほど豪華ではないにせよ、教授たちそれぞれに一つづつ好みをものを与えられるくらいのことはあるかもしれませんね。
また、眼鏡についても非常に気になっていて、以前、記事に書いたと思うのですが、そもそもハリーに眼鏡を買ってやること自体、ダーズリー夫妻の愛なのではないかと思いました。スネイプ先生は学生時代、鼻をくっつけんばかりにして答案を書いていたことがあり、先生も眼が悪かったと考えています。でも、眼鏡をしていないのは、セブルス少年の目の悪さを気にかけてくれる人がいなかったからではないかと思うんです。ハリーは実は、ダーズリー家においても、スネイプ先生より愛があったのかもしれないと思うと、スネイプ先生が可哀想で胸が痛みます。
しかし、ハリーがその眼鏡を大事にしている、ということまでは思い至りませんでした。確かに、大事に使ってますね!まさか、お父さんの形見ってことはないでしょうね?度が違いますよね。でも、それなら、ダーズリー夫妻の愛からの購入という形はなくなり、納得できます。どうなんでしょうね。

コメントありがとうございました。
またいらしてくださいね。


二尋さんこんにちは☆

お返事ありがとうございます!!すごく嬉しいです(0^▽^0) こんなこt

二尋さんこんにちは☆

コメント途中で切れちゃいました(笑) こんな横道の疑問気にしているの私だけ?(;ー;)・・・なんて思ってたので嬉しいです(大興奮)☆ 不死鳥の騎士団を見る前に

またまた切れちゃった(>へ<;) 不死鳥の騎士団を見る前に1作目から見直しているミッフィーです。 そこで今日は私のお気に入りの素敵スネイプ先生シーンを聞いてくださ~い☆☆  まず賢者の石。で、クィディッチ観戦の時マフラーを巻いている先生が素敵(笑) きちんと防寒対策してるんやぁ!なんて。 スネイプ先生の部屋は地下という事で、ほかの部屋より数段寒い事でしょう・・・ 朝起きて、「今日は一段と冷えるな・・・」と感じ、きちんとマフラーをしたんでしょうね。何よりあのマフラーは一体どうしたんでしょうか?! 魔法で出した?? 私的にはホグズミード辺りで購入していて欲しいです(笑) 先生の買い物のシーン・・・  「・・・やはり我輩には、黒・・・だな・・・」なんてポツリとつぶやきながら鏡の前で合わせてたり(笑) 想像しただけで笑顔になっちゃいます!!私がホグワーツの生徒だったら、きっと毎日徹夜してでも手編みのマフラー編んで先生にクリスマスプレゼントするのになぁ・・・。てか「先生質問があって・・・」って毎日地下の研究室へ通います(笑)  続いて炎のゴブレット。で、ハリーが大広間(?)で勉強会していて、ロンとダンスのパートナーの事でおしゃべりが過ぎ、スネイプ先生に頭をクイっとされるシーンありますよね。おしゃべりをやめないハリー達を見て「やれやれ・・・」という顔をし、袖をキュッとあげる先生もすこぶる素敵なんですけど、私が一番キュンとしたのはそこじゃないんです(>0<) ロンに{早くしないといい子はみんな売れちゃうぞ}と書いた紙切れを渡し、「自分はどうなんだよ?」と突っ込まれたジョージが、アンジェリーナを誘うシーン。 「どう?僕と踊る?一緒に」 「・・・あなたと?・・・いいわよ」 そう答えるアンジェリーナの後ろに・・・・い、いましたスネイプ先生!!立ち止まり、どうやらこのやり取りが気になっている様子(笑)そして持っている本をわずかに下げ、こっそり見よう&聞こうとしているスネイプ先生の姿が!!(0>▽<0) なんてオチャメなスネイプ先生(爆笑)!!めっちゃ可愛いです☆ 100年に一度の三校対抗試合。もしスネイプ先生の在学中に開催される事があったら、先生は誰をダンスの相手に誘っていたのでしょう・・・ やっぱりリリー?それともパーティーには参加せず、どこか静かな場所で一人で本を読んだりするんでしょうか。それはそれで先生らしいけど、ちょっと寂しいですね(;へ;) あ、そうそう大広間でのダンスのシーンで、ハリー達代表選手から各生徒、そして先生方が順番に踊りに参加していってましたが、カルカロフが女性の手を取り踊りに出てった時にスネイプ先生も映ってるんですけど、その隣に・・・魔女らしき女性が・・・!!しかもスネイプ先生を見つめている~~!!だ、誰なんだろう・・・スネイプ先生と踊りたいのか?! あのあとどうなったんだろう・・・。「よろしければ踊りません?」なんて声かけられたんでしょうか。 でもスネイプ先生の性格からすると、「いや、我輩は結構・・・」なんて言いながら見てるだけって感じするけど(苦笑) 先生が女性とワルツを踊るなんて想像できないけど、きっと顔は無表情でもその姿は優雅なんでしょうね~(0´▽`0)はぁ~見てみたい。というか先生とワルツを踊ってみた~い!! ・・・今日もつまらない事を長々と語ってしまったミッフィーなのでした・・・(^^;)

想像

ミッフィーさん、こんにちは!
映画の何気ない場面から色々想像するのも楽しいですね。
マフラーをする時の心理とか、そのマフラーはどうやって手に入れたか、とか。先生が見につけているもの全て、パンツも含めどこで手に入れているか気になるところです。やはり、何かこだわりがあって黒の服や灰色のパジャマを着ているのではないか、とか。
>炎のゴブレット
アンジェリーナの後ろで、私語を咎めないスネイプ先生の姿は確かに想像力が刺激されますね。見て見ない振りをしているのか、本当に気付かない天然なのか、様子をこっそり窺っているのか。
ダンスの場面にしても、そこに描かれない会話を想像するのは、楽しいことだと思います。あのまま、突っ立っていたと考えるのもそれはそれで不憫で心動かされますが。
どんな場面にも、想像する余地が残されるのは、楽しいですね。

う~ん・・・

二尋さんこんにちは☆ 先生方のお風呂の件ですが、友達に二尋さんの意見を伝えてみたところ、「なるほど~!!」と大納得してました!確かに先生ともなると、あの広いホグワーツに各専用のお風呂があってもおかしくないですよね! ただ女性用・男性用の二つしか無かったら、例え同僚といえどもバッタリ会ったりしたら何か気まずいですよねぇ・・・(^^;)笑。 それとも各入浴の時間が決まってるとか・・・ もしスネイプ先生が他教授とバッタリ会った時には「今日も疲れましたな・・・そうそう今日も我輩の授業でポッターがヘマをやらかしましてな・・・」 なんて世間話するなんて思えないし(笑) だいたいイギリスもシャワーだけなんでしょうね? 日本のように湯船につかりながらゆっくり世間話するのも先生方のコミュニケーションに良いと思うんですが(^0^) あとメガネの件ですが、あんな状態のダーズリー家でもハリーはスネイプ先生より愛されていたなんてスネイプ先生が可哀相過ぎますよね(;へ;) あれ(ダーズリー家)以下はないと思ってたので・・・ 私も一瞬ジェームズの形見?と思った事もあるんですが、二尋さんの言う通り度も合わないだろうし、両親は事故で死んだということにして、二人の話をするのも嫌がっていたバーノンおじさんが、「父親の形見だ」なんて言ってハリーに渡すだろうかとまた疑問なのです。 もしかしてハリーの唯一の血縁者、ペチュニアおばさんが、夫にも内緒で遺品を隠していたとか・・・?? 7巻ではペチュニアおばさんの正体も明かされるそうですが、すごく気になる話題の1つですね! あとスネイプ先生は本当に黒・灰色にこだわりがあるみたいですね。いかにも「闇」の色というか・・・(>ー<)今はもうきちんとパンツ洗ってるんでしょうか(苦笑)?? だいたい逆さまに吊られてローブがまくれあがっても、下にズボンをはいているのでは?なんでパンツまで丸見えになっちゃうんだろう?って未だに納得いかないミッフィーです。 二尋さんも原作や映画のシーンでお気に入りのものや疑問などたくさん持ってらっしゃるんでしょうね(0^▽^0) もし良かったらまた教えて下さいね☆ ぜひ語りましょう~♪♪

お気に入り

ミッフィーさん、再びのコメントありがとうございます。
そう、私にもお気に入りの場面は多々あるんです。
今までさんざん、このブログや日記や掲示板で語ってきたので、自分がどこで何を書いたか忘れてしまいましたー!
でも、スネイプ先生の私生活がわかるような場面は特に好きですね。下着やパジャマの色の描写だとか、スピナーズ・エンドのように学校外にいる姿とか。
監督生のお風呂は、やはりヒントとしてはずせません。プールのように泳げてしまう広さは、一人で使うにはもったいないけれど、イギリス人が複数で入浴する習慣はないような気がするし。
スネイプ先生は、どんな立派な浴室が用意されていようと、自分の研究や生徒のレポートの採点などの業務に追われていて、ゆっくり入浴を楽しむ、などということはないかもしれませんが。
ところで、ミッフィーさんは、掲示板があるのをご存知でしょうか。
お気に入りの場面や気になる場面について語り合いたいとお思いでしたら、ぜひそちらに行かれることをお勧めします。
私以外でも、お気に入りの場面を書き込んでくださる方がいらっしゃるかもしれませんし。
http://www2.tba.t-com.ne.jp/futahiro/
のトップ画面から行けるようになっています。よろしかったら、ご利用下さい。

Don't!

横から失礼します。ここでの二尋さんの主眼ではない話なのですが、少し触れられている「臆病者と呼ぶな」について、ちょっと思うことを書かせて下さい。

確か余所でも触れられていたことがある気がするので、私のオリジナル発想ではないのですが、この場面、読めば読むほど「Don't call me coward!」は文字通りのメッセージではない気がするんですね。スネイプが何らかの意味で図星の、痛いところを突かれて、思わず激昂したことは確かなのですが、それは臆病者とは無関係なのではないかと。

そう思う1つの理由は、この場面の直前、ハリーが何度も先生に呪いをかけようとしては難なく防御されてしまっているシーンで、2人は闘いながら臆病者云々の話題を既に交わしていることです。日本語版が分からないのでUK版のみの引用で申し訳ありませんが、この時には:

'Incarc--' Harry roared, but Snape deflected the spell with an almost lazy flick of his arm.

'Fight back!' Harry screamed at him. 'Fight back, you cowardly--'

'Coward, did you call me, Potter?' shouted Snape. 'Your father would never attack me unless it was four on one, what would you call him, I wonder?'

'Stupe--'

'Blocked again, and again, and again until you learn to keep your mouth shut and your mind closed, Potter!' sneered Snape, deflecting the curse once more. (UK児童版 p.562)

…と、スネイプは大してハリーの発言に打撃を受けている様子がありません。一応 shout と声は大声ですが、ハリーに見られる roar や、まして scream という必死さに対して、話す口調も随分悠長ですし(「what would you call him, I wonder?」)、引き続きハリーに対して、この場を去るギリギリまで対戦術の復習をしてやっているのではないかとさえ読めるような、余裕たっぷりのあしらいが続きます。(スネイプが多少切羽詰まって「roar」という動詞で表されるほど激しく怒鳴るのは、この直後、仲間の死喰い人がハリーにクルシオをかけた時です。その時は「ハリーは置いて行けとの命令だったろう、早く逃げるぞ」と、かなりの勢いで急かしています。別にクルシオぐらいかけても外傷が残るわけでもないし、自分だってハリーと決闘ごっこやって随分時間を無駄にしてたから、そんな勢いで止めなくてもって思うんですけどね…。)

少し脇道に逸れましたが、そういうわけで、ハリーに臆病者と思われることをスネイプがそんなに気に病んでいるようには思えないということが、私のポイントの1つです。何度も言われてイライラした、という可能性は残っていますが、それだけのことで燃えさかる小屋に閉じこめられた犬みたいに苦悶に満ちた顔をしたというのでは、ちょっとやはり激しすぎるような…。この痛みに満ちた反応が、私にとって先生の言葉が額面どおりに取れない第2の理由で、ここはやはり「臆病者」以外の部分に反応しているはずだと思うわけです。

実際、本文でのこの場面はこうです:

'Kill me, then,' panted Harry, who felt no fear at all, but only rage and contempt. 'Kill me like you killed him, you coward--'

'DON'T--' screamed Snape, and his face was suddenly demented, inhuman, as though he was in as much pain as the yelping, howling dog stuck in the burning house behind them '--CALL ME COWARD!' (UK児童版 p.564)

確かに英語の物語文では、ひとつづきで語られた文が間に「~と誰々は言った」のような文句を挟んで2つに分けられるのは頻繁に見られる自然なスタイルですが、いくらそれにしても、ここは間に挟まっている説明文が余りにも長いことから、スネイプの台詞が2つに分け隔てられている印象が強い部分です。実際にスネイプの話し方に時間的な「間」が空いていたかどうかはともかくとしても、この前半と後半の間に少なくとも何らかの心理的ギャップがあることを暗示する描き方だと思います。特に(スネイプに畳みかけられて途切れるハリーの発言最後の部分もそうですが)何かを言いかけて遮られた感のあるダッシュ(--)がその雰囲気を強めているのですが、ここでスネイプが「Don't--」と言いかけて自分で自分を遮ったとすると、何か言ってはいけないことを思わず言いかけてしまって、慌てて路線変更した可能性も考えられます。「Don't!」はそのままでも文になりますし、その後に「…彼を殺したことについて話すのは」とか続く可能性もあったわけで、そう考えると、どうも今ひとつ激昂する理由につながらないように思える「臆病者と呼ぶのは」という後半部分は、実は嘘で、思わず漏れてしまった叫びを、後から必死に取り繕っているのかもしれない…と思われるところです。この両義性を保ったまま自然な日本語にするのは確かに不可能に近いのですが、強いて意訳するとすれば:

「黙れ!」とスネイプは喚いた。(中略)「臆病者呼ばわりするな!」と。

という感じでしょうか。最初から「臆病者」について言いたかった台詞とも、違うことを言いかけてしまった挙句の言い直しとも、どちらとも取れるばかりでなく、この部分の台詞「Don't…」という英語の命令文の形は、話し手スネイプの気持ち次第で「やめろ!」とも「やめてくれ!」とも(つまり激昂とも悲鳴とも)どちらとしても自然に解釈できるところが、日本語の命令文とは少し様子が違います。なので、ここはスネイプ味方説の私などにとっては、可哀相にスネイプ先生、思わず仮面が剥がれかかるほど、よほどハリーの殺人者呼ばわりが辛かったんだろうな…と泣けてきてしょうがない場面なのです。

(閉じこめられて泣き喚くファングの喩えがまた…。なんて身につまされる、やるせない心理描写なんでしょう! >_<)

そんな解釈が!

zerlさんコメントありがとうございます。
これだけの文章を書かれるのは、さぞかし大変だったろうと思います。書いてくださってありがとうございます!

「Don't 」「call me coward!」のDon'tが、callを打ち消しているとは限らないという説、大変興味深く読みました。
実は、この「臆病者と呼ぶな」については思うところを既にほぼ書き終えていましたが、それは全く文面どおりに解釈して書いたもので、まさか、打ち消しているのが、「臆病者と呼ぶこと」ではない可能性があるとは想像もしませんでした。
日本語では「我輩を―」中略「―臆病者と呼ぶな!」ですが、もちろん、そこには訳者の解釈が入っているわけで、Don'tの後に何かの言葉を飲み込んだと考えることも全く不自然ではないと思います。
その間に心理的ギャップを見て取るのも興味深いです。そういう読み方が可能なのは、英語圏の人とか英語を自由に読める方の強みだと思います。
もっとも、私は6巻は先に原文で読み終わったのですが、訳者同様、一つの文と解釈しました。この場面の書体も太字も大文字も同じなので、一つの文と捉えることも全く自然だとは思います。また、私は、この少し前に最初に臆病者と言われた時のスネイプ先生は、余裕こそありましたが、「臆病者」の言葉への反応は素早いと感じました。まだハリーが全て言葉を言い切らないうちにcowardlyのあとすかさず言葉を被せて‘Coward, did you call me, Potter?'と言っているので。

臆病者という言葉に異常に反応する先生の心の内を考えるのも切ないですし、また何かの言葉を飲み込んで言い繕ったと考えるのも痛々しくて、どちらも泣けてきます。いずれにしても、普段冷静なスネイプ先生にこれだけ激昂させたものは、先生にとって大きな心の傷だろうと思います。


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