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2017-05

ホークラックスを守る薬 - 2007.06.03 Sun

海の洞窟の中で、水盆の中の薬を飲みながら拒絶し続けるダンブルドアの言葉は、水盆の薬を飲み干すことを拒否するというより、別なことを言っているようにも受け取れます。

最初、この部分を読んだ時、抑制がとれた状態のようだと思いました。普段理性で押さえつけられた本音の部分が薬の作用で出てきたのだと思いました。真実薬に近い働きをするものなのでしょうか。真実薬なら、無色透明ですが、この薬は緑色の光を放っています。また、真実薬なら、質問に対して真実を答える作用があるようですが、この時のダンブルドアは、ハリーの質問に答えているわけではありませんでした。勝手に、心の内を叫んでいるように見えます。
また、この時のダンブルドアは誰かに対して懇願しているようにも見えます。これがまた、ハリーに対して言っているわけではないように私には思えました。自分自身か、別の誰かに。

「だめじゃ、だめ、だめ…だめじゃ…わしにはできん…できん。させないでくれ。やりたくない・・・」
「わしのせいじゃ。わしのせいじゃ」「やめさせてくれ。わしが悪かったのじゃ。ああどうかやめさせてくれ。わしはもう二度と決して・・・」(6巻26章p.387)
「わしにはできん」「やめさせてくれ」という対象は、5巻で語ったダンブルドアの計画のことではないかと思いました。ハリーを愛おしく思ったことが欠陥、という計画は、非情なものであったことが窺われます。それをやりたくない、遂行しようとする自分を止めたい気持ちが常にあったのではないかと思います。

「あの者たちを傷つけないでくれ、頼む。お願いだ。わしが悪かった。代わりにわしを傷つけてくれ・・・」「頼むお願いだ。お願いだ。だめだ…それはだめだ。わしが何でもするから・・・」(6巻26章p.388)
「わしは死にたい!やめさせてくれ!やめさせてくれ!死にたい!」「殺してくれ!」(6巻26章p.389)
「あの者たち」という複数形も気になります。ここは、ドラコとスネイプ先生のことではないかと思いました。ドラコの任務はわかっていたようだし、スネイプ先生が破れぬ誓いを立てたことも知っていたでしょう。あの者たちの代わりに自分を傷つける、というのは、まさにこの後起こることのように思えます。ドラコが任務を遂行できなければドラコはヴォルデモートに、スネイプ先生は誓いの効力で死んでしまうでしょうから、それを避けたいという気持ちでこの言葉が出たのではないかと思います。自分が死ぬしかないと。

こうして見ると、この薬、飲んだ人の弱い部分が出てくる作用があるのではないかと思いました。
だいたい、ヴォルデモートは何か意図があって、この薬を用意したはずでしょうし、その意図は、「すぐさま殺さない」だけでなく、「ホークラックスを手に入れさせない」というものも含まれていたに違いないと思うのです。ただ怖気付かせるだけで十分かもしれませんが、ここまで来られた者は、ちょっとやそっとの脅しには屈しないでしょう。そこで、心の中の弱い部分が露呈するような薬を用意したのではないかと思いました。
もしそうだとすると、そして引用の後半部分の「あの者たち」がスネイプ先生とドラコのことだとすると、結果的にダンブルドアの弱い部分が採用されてしまったことになります。でも、強気のダンブルドアは、ドラコもスネイプ先生も切り捨てるくらいの心構えがあったとは、考えにくいような気がします。うーん、やっぱりこう考えるのは無理があるでしょうか。

では、一番心配なことが出てくる作用でしょうか。
ハリーを心配し、ドラコもスネイプ先生も心配でたまらないダンブルドア校長。これなら、受け入れ易いです。ヴォルデモートのホークラックスを狙ってここまでやってくるような者にとっての心配事は、やはりヴォルデモートに命を狙われることだと思います。そんな心配が出てきて怖気付く、という薬かもしれません。これなら、謎の人物R・A・Bが、ホークラックスを手に入れることができたのも頷けます。初めから死ぬ覚悟ができていた様子なので、この薬が妨げになることはなかったのではないかと思います。

そこにはいない誰かに懇願しているように見えるのは、ヴォルデモートの幻でも見えるのでしょうか。誰に対して話しているのかも気になるところです。

ところでこの部分、翻訳が気になります。
「わし」「嫌じゃ」などとダンブルドアの口調として訳されていますが、これは英語圏の人が読んだ時どう解釈したのだろうと思いました。つまり‘No’とか‘I can't’とか‘I don't want to…’などの、とても短い文章の中に、ダンブルドアらしさはでていたのだろうか、誰か別な人のセリフには見えなかったのだろうか、という疑問です。「ダンブルドアの声とは思えない声を発した」(6巻26章p.385)というのも気になります。
この辺がよくわかりません。
これがもし、ダンブルドアの本心などではなく、別の誰かの言葉だとしたら。
スネイプ先生の言葉かもしれないと思って見てみると、そんな風に見えなくもありません。スネイプ先生の心の叫びかもしれないと思って読むと、とても悲しくなってしまいました。

● COMMENT ●

薬の性質

ここ、最初は水盆の薬の性質を「飲んだ者が一番恐れている苦しみを味わわせること」だと思ってたんですが、何ヶ月もしてから、実は違うのではないかと思い始めました。ダンブルドアが賢者の石を隠すのにみぞの鏡を使ったように、この薬はヴォルデモート本人にしかホークラックスへ到達できないようにする、いわば鍵の役割をするものですから、ヴォルデモートには効かないものなのではないかと。

そこで考えると、薬の効力は、実は見てのとおりのもので、誰が飲んでも「その人が一番愛している者たちが苦しめられ殺される妄想に呵まれる」という力があるのではないかと思います。そうならば、ダンブルドアのように「心から愛する者」が星の数ほどいる人物には薬は耐えがたいものとなり、逆にヴォルデモートは地球上の誰がどのような目に遭おうが全く平気ですから、ごくごく飲み干して簡単にホークラックスに到達できることになります。

ロケットを護る「鍵」は3つで、血を求める扉と、亡者だらけの池と、この薬でした。1つ目は基本的な体力、2つ目は一定レベルの防衛術の知識があれば切り抜けられます。つまりヴォルデモートの敵として想定されるような(ダンブルドアのような)相手には、あまり役に立っているとはいえないわけですが、そういった敵にこそ効くのが3番目の試練なのだと思います。最初の扉を前にしたときにダンブルドアはヴォルデモートを「分かっていないなぁ」と馬鹿にしますが、薬と亡者の攻撃の後では、ハリーに向かって「やはり甘い相手ではなかった、さすがヴォルデモートだ」という風に言っています。それは、やっぱりヴォルデモートは分かっていないわけではなかった、そして自分と敵の「心」の中にある性質の違いを上手く利用した、ということのように思いました。

更に憶測すると、RABは死喰い人としての訓練を糧に心を鬼にして切り抜けたか、あるいはヴォルデモートを裏切るきっかけとなった事件自体が、何か酷く凄惨な形で愛する人を殺されるといったことだったために、その苦しさを乗り越えて目標に到達できるだけの心の準備ができていたのかもしれません。そうならばRABに共犯が居る必要はないので、クリーチャーを無理矢理同伴したという意見が多いようですが、私は単独行動だったのではないかという気がします。

ダンブルドアの罪と罰

連続して失礼します。

薬の性質がどんなものだったにせよ、ダンブルドアが受けている責め苦は「誰か愛する人たち(生徒たち? 彼が護ろうとしている味方陣営の全ての人たち?)が想像を絶する酷い目に遭う」というシーンを味わうことのようです。この苦痛を死の直前に味わう羽目になることが、ダンブルドアの最終的な罪を、ある意味で贖っているのかなぁ…という風に私は思っています。

また「ダンブルドアがスネイプに自分を殺すことを命じた」話の続きになりますが(もうすぐ結論が出ますね! 楽しみなような怖いような…) もしスネイプにそんな命令を下したとすると、ダンブルドアはかなり非情な部下の使い方をしています。つまり、スネイプに、まさにこの薬を飲んだときのような苦しみを味わえと命じたわけです。大義のためとはいえ、この世に「愛する人」をあまり沢山持たないように見えるスネイプ先生に、ほぼ唯一心底から敬愛する相手(校長自身)を冷酷に殺してくれと命じることは、私には(スネイプ大好きの色眼鏡をしばし外したとしても^^;)ちょっと人の道を外れる、許されがたい行いに見えました。その罪を免除するのが、スネイプ先生がそもそもダンブルドアに服することで自分の過去の罪を贖っているという事実なのかなぁ、という風に以前のコメントで申しましたが、やっぱりそれでは足りない気がします。ダンブルドア自身にとっても気になっていたはずの己の罪を、死の直前になって、セブルスに課したのと同質の苦しみを受けるという形で、彼は図らずも贖ったのではないかと。あるいは少し見方を変えれば、ポエティック・ジャスティスではありませんが、そのような命令を下してしまったアルバスを運が罰したといえるのではないかと、そんな風に思いました。

zerlさん、たくさんのコメント本当にありがとうございます!!
すぐにお返事したいのですが、ちょっと体調を崩してしまったので、ゆっくり考えることができません。
じっくり考えられる状態になってからお返事しますね。

遅くなりました

zerlさん、お返事が遅くなってごめんなさい。
今回も大変説得力のあるコメントで嬉しく拝見しました。

・薬の性質
>その人が一番愛している者たちが苦しめられ殺される妄想に呵まれる
なるほど、確かにそのような性質なら、ヴォルデモートは痛くも痒くもありませんね!
そして、最初は「分かっていないなあ」的な発言をしていたダンブルドアが「防御は…最終的には…巧みなものじゃった」(6巻26章p.395)と言っているのも確かですね!
ヴォルデモートがそこまで考えていたのか、という疑問も残りますが、ダンブルドアが校長になってから再び教職に就くことを願って現れた際、愛について議論をしていますから、やはりその辺の意見の相違から考え付いたとしてもおかしくないと思いました。

さて、ここで新たな疑問なのですが、RABがこのトラップを無事切り抜けたのなら、なぜまだ水盆に薬が存在するのでしょうか。飲み干す、という手段を用いなかったのか、この薬はRABが新たに追加したのか、偽物ではあっても水盆の中に守るべき物が有りさえすれば、自動的に薬も追加されるものなのか。
RABが同じ苦しみを味わったのかどうかが、気になるところです。


・ダンブルドアの罪と罰
>ダンブルドアがスネイプに自分を殺すことを命じた
これについては、考えるほど苦しくなってきます。つまりダンブルドアが殺人を命じたと考えることも、命じていないのにスネイプ先生が自分の判断で行ったと考えることも、どちらも私にとって非常に辛いからです。
ダンブルドアが命じたとしたら。
スネイプ先生が過去の罪を購うために命じられた殺人を犯すということも、スネイプ先生に与えた苦しみを購うためにダンブルドアが責め苦を負うというのも、なかなか受け入れられません。ハリーの愛する人を奪ったから自分の愛する人も奪われて当然という「目には目を」的な発想が。また、スネイプ先生はダンブルドアを殺すという苦しみを味わったというのに、同時に新たな罪を背負ってしまい、何の解決にもなっていません。この「目には目を」的発想だと、結局スネイプ先生は、最終的には自分の死でもって購う形を取ることになるしかないような気がします。ローリングさんはどう考えているかわかりませんが、死で罪は償えないと私は思っています。
スネイプ先生の独断だった場合は、もっと辛いのですが、その行いを正当化するつもりはありません。ただひたすら、その判断をしてしまったスネイプ先生の胸中を思い遣るばかりです。
きっと、7巻で明らかになるのでしょうね。とても恐ろしいです。


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