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2017-11

喉から押し込むベゾアール - 2007.02.05 Mon

ちょっと、話が前後するのですが、言い忘れたことがあったので、書こうと思います。

誕生日に惚れ薬入りのチョコレートを食べてしまったロンが、解毒剤を飲んだ後、今度は毒入り蜂蜜酒を飲んで泡を吹いて倒れてしまいました。唖然とするスラグホーン先生を尻目に、ハリーはすばやく行動し、ベゾアール石をロンの口に押し込んだのでした。

ベゾアール石と言えば、1年生だったハリーが最初の魔法薬学の授業でスネイプ先生に質問攻めにされた時に出てきた名前です。
その後、忘れたと思った頃に突然脚光を浴びたこの物質、いったいどのくらいの大きさなのでしょうか。そのまま飲み込んで窒息しないのでしょうか。

以前、オフでお会いした方は、こぶしくらいの大きさを想像していたとかで、それを喉に押し込むのは辛いだろう、と語り合ったことがありました。
多分、「石というより乾涸びた腎臓のようだった」(6巻18章p.85)という記述から、実際の腎臓サイズを想像されたのだろうと思います。
私が想像していた大きさはそら豆サイズでした。それも喉に押し込んだら、窒息の可能性があるとは思います。

ハリーが材料棚で見つけたベゾアールは、小さな紙の箱(small card box)に半ダースほど入っていました。card boxが「紙の箱」となっていますが、これって、「名刺入れ」とか「トランプカード入れ」という意味ではないのでしょうか。少なくとも大きさとしてはそのくらいをイメージしていました。その中に6個くらい入る腎臓型の結石といったら、実際はそら豆より少し小さいくらいでしょうか。それを口に入れたわけです。

ところで、毒を飲んで手足が痙攣しているロンが、はたしてちゃんと石を飲み込めるかが、私は最初に読んだ時から気になっていました。
痙攣とは、不随意に起こる筋肉の収縮ですから、自分で筋肉をコントロールできる状態にはないということだと思うのです。手足が痙攣していて泡も吹いているなら、きっと全身の筋肉が痙攣していると思います。
それで、まだ邦訳が出版される前、ハリーポッターを読んだことのない同僚に質問してみました。嚥下の専門家である二人のSTに同時に。
痙攣している人に、嚥下はできるのか?と聞きました。
答えは「できない」でした。「ファンタジーの世界だからできるんだよ」とも言われました。
ううむ。確かに随意運動(自分で動かそうと思って動かす運動)は無理だと思いました。筋肉が勝手に収縮しているときには、反射も起こらないでしょうし。

様々な毒に対して解毒作用のあるベゾアール石。でもたいてい毒を飲んだ人は、毒による症状が出ていて、飲み込むことは困難なのではないかと思います。例えば、意識がない場合とか。
魔法薬の本に書かれたスネイプ先生の指示はどうなっているでしょう?
「ベゾアール石を喉から押し込むだけ」(Just shove a bezoar down their throats)とあります。

嚥下には第1期(口腔期)から、第2期(咽頭期)、第3期(食道期)まであります。
第1期は随意運動ですが、2期と3期は反射ですから、痙攣している時は無理でも、咽頭まで入れれば、意識はなくても反射で飲み込めるのではないかと思いました。
先生、素晴らしいです!咽頭まで押し込んでやれば、後は反射で入っていくというのですよね。

そこで、また最近聞いてみました。
どうやら、そう簡単な話でもないようです。反射といわれる部分でも、「飲み込もう」という意志は働いているので、随意運動がないとは言い切れない、ということでした。だから、意識の無い人に何かを飲ませることは非常に危険、ということでした。
たしかに、マグルの世界ではそうだと思います。
でも魔法界においては、毒で死ぬか生きるかという時、一か八かで、ベゾアール石を喉まで押し込むという方法が取られても、おかしくないと思います。「口にいれるだけ」と書かず、「喉から押し込むだけ」とおそらく学生時代に書いたスネイプ先生の正しさに舌を巻きました。

そのような指示があったにもかかわらず、ハリーは口に押し込んでいますね。原書でもmouthですから、随意運動なしでは難しかったかもしれません。
あの状態でロンが飲み込めたのは、やはり魔法の世界ならではの出来事だからか、一時的に痙攣が治まり、意識があったと考えるかのどちらかだと思います。


注意!
意識のない人の喉には、決して物を押し込まないで下さい。

● COMMENT ●

考えてみれば、魔法薬って一体どういう仕組みで効くんでしょうね。スネイプ先生がグツグツ煮て作る普通の薬は、マグルの薬と同じように消化器官から吸収されて血流に乗るイメージですが、やっぱり「魔法」薬である限り、どこかの段階で魔法が発動しているんでしょうか? とすると血流に乗ってから発動しても、胃壁に吸い込まれたタイミングでも、あるいは「喉の奥に当たった瞬間」とかでもいいのかも…。

あのシーンを読んだときは、私は白雪姫の継母魔女の魔法みたいなイメージでした。魔法の毒が効かせてあるリンゴを囓った瞬間に、とか、それどころか髪を梳っただけでも毒が回って倒れたりするじゃないですか、あの感じで。毒リンゴを吐き出しただけで息を吹き返すというのも、毒の仕組みとしては(正月のお餅じゃあるまいし)ちょっとマグル界の生体メカニズムを逸脱しているような気がしますし。

大きさは、梅干し大~ピンポン球ぐらいに思ってましたが、よく考えてみると、そんな大きさのものを無理に喉に押し込んだら、たちまち窒息してしまいますよね。実際のところどれくらいなんでしょう、気になります。

ちなみに card box と言うときの card は cardboard と同じ「ボール紙/厚紙」という意味なので、大きさのヒントにはならないみたいです。普通に「ボール紙の箱」と言った時に思い浮かぶのは靴の箱ぐらいのサイズでしょうか? それに比べて「小さい」箱という感じで表現されているわけなので、名刺入れぐらいかもしれないしハリポタの原書ぐらいあるかもしれません。でもスカスカだったかもしれないし…。うーん、考え出すとキリがないですね^^

麝香の本体が直径3~7cm

ベアゾール石が山羊の内蔵からでた石なら、麝香ジカから取れるムスクの素、麝香と大して大きさが変わらないかもと思ったのですが。
麝香もそのままのものと、中のどろっとしたエキスを固めたものがあるようにもしかしたらベアゾール石もエキスを固めたものがあるかもしれませんね、そうであれば救○のようなアラザン(アイスの飾りなどに使う)の大きさの可能性もありますね
そこまで小さくなくっても5mm~1cmも十分に考えられるのでは。

>zerlさん、こんにちは

card box なんですが私は紙の箱と訳しました。エキスの塊のようなものを保存する時に蓋付きの紙の箱(又はマッチ箱)に綿花をひいてその中に保存するイメージがあるからです。

イメージ

zerlさん、hajime*mamaさん、コメントありがとうございます。
card boxは、邦訳どおりの「紙の箱」なのですね。
cardにcardboard と同じ意味がありそうだとは思ったのですが、card caseが名刺入れだったので、同義語かなと思ってしまいました。教えてくださってありがとうございます。

zerlさん
私のイメージでは、魔法薬は作製の過程が「魔法」で、一度服用されたものは、マグルと同じように吸収され、「魔法的」に作用する、でした。
考えてみれば、吸収の部分だけがマグル的、というのもおかしいのですが、体の基本的な構造とか機能は同じで、能力だけが違うと解釈している感じです。

hajime*mama さん
山羊の胃から採れるって、つまり結石ですよね。私は人間の腎臓結石とか、胆のう結石をイメージしていました。でも、大きさのイメージはそら豆大で。
あまり小さいと、腎臓みたいとか、肝臓みたいとかの印象を受けない気がします。1cmくらいが妥当でしょうか。
麝香もそうですが、同じく香料のアンバーグリス(龍涎香)は、マッコウクジラの胃とか腸から採れる結石ですね!これはかなり大きいでしょうね。

生薬で見つけました!

こんにちは、番組で少しお話させていただいた榴(りゅう)です。

今薬学生で生薬を習っているのですが、そこにベゾアールを見つけました。

ゴオウ(牛黄)のラテン名がBezoar Bovis(ベゾアル ボビス)です。


ゴオウについてはこちら↓
http://www15.plala.or.jp/n-kanpoudo/goou.html


http://www.chukai.ne.jp/~taizan/newpage18.html


ゴオウの薬効見ると、あらゆる毒に対しての解毒薬となる、というのにも納得です。

ハリポタのベゾアールは山羊の胃の結石、マグルの世界では牛の胆のうの結石と基原動物が違いますがほぼ同じだと思いました。

魔法薬学は材料が魔法界のものだけれどマグル界で言うとこの漢方薬の調合のようなイメージです。

薬理の作用機構が気になりますがそこまで深く現実的に考えちゃいけないんだろうと思って考えるのをやめました。

魔法薬学の授業を受けたくて仕方ないです。化学式が無い時代の薬学なら勉強は楽しかっただろうにと思わずにはいられません。

嚥下についての話や、童話の例にはなるほどと思いました。とても興味深かったです。

ようこそ!

榴さん、ようこそお越しくださいました!
お話させていただいた時のこと、よく覚えています。
私の発言から、このブログの管理人だと思い当たって下さったのでしたよね?

薬学生でいらしたのですね!
実際、今、薬学を学ばれているということが羨ましいです。
言われてみると確かに、魔法薬学は漢方薬に似ているように思えます。
動植物を乾燥させたものとか、何かの汁とか、精製されていない物質を使うところが。
牛の胆管や胆のうに出来た結石自体とても稀のようですが、そこに薬効を見つけた先人も、魔法使いのようだと思いました。
魔法薬学の授業でスネイプ先生が用意した材料の作用は知りたいところです。
安らぎの水薬なんかにマグル界でも鎮静効果のある物質が使われていたら面白いのですが。

嚥下については、まだ探究中です。
この記事を書いた時の二人のST(スピーチセラピスト)はもう職場にはおらず、別な人たちに入れ替わっているので、ハリポタの映画を全部見ているSTにロンの口にベゾアールを押しこんだ映画の場面をどう思うか聞いたんです。返事は「その場面をもう一度じっくり見てから考察します」でした。いつか新しい見解を聞けたら、また記事にしますね。多分、日記の方に。
コメントありがとうございました。
良かったら、またいらしてくださいね~


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