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2011-10

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リリーの手紙と写真 - 2011.10.22 Sat

シリウスの寝室で、リリーの手紙を読みながら涙を流していたスネイプ先生は、二枚あったリリーの手紙の一枚だけをローブにしまいました。
ハリーはこの時の様子をこう見ています。

スネイプは、リリーの署名と「愛を込めて」と書いてあるページを、ローブにしまい込んだ。(7巻33章p.454)

この何ヶ月か前、ハリーがリリーの一枚目の手紙を見つけた時、ハリーはそこに、リリーが生きていた証を感じ、記したリリーの手を感じていました。
母親の温かな手が、一度はこの羊皮紙の上を動いて、インクでこういう文字を、こういう言葉をしたためたのだ。(7巻10章p.260)と。

スネイプ先生にとっては、その辺同じ価値観ではなかったのだな、と思わされます。ハリーが見ているように、リリーの署名と「愛を込めて」が大事だったのだろうなと。

誕生祝いのおもちゃの箒を喜ぶハリーの報告は、たとえその文字が温かなリリーの手によってしたためられたものだとしても、スネイプ先生にとっては価値がなかったのでしょう。
後にハリーが発見した時、一枚目の手紙は丸められていました。
私は、部屋を散らかしたのはマンダンガスだと考えているし、スネイプ先生が後から散らかった部屋で手紙を発見したと思っているので、そうなると、紙を丸めたのはスネイプ先生、ということになってしまいます。
仮にマンダンガスが後から入ったとしても、自分に不要なものは放るだけで、コソ泥の彼は、わざわざ丸めるような手間はかけないと思います。
また、家族揃って写っている写真のリリーの部分だけを破り、ハリーとジェームズ部分は整理箪笥の下に捨てているところを見ると、価値を感じない手紙を丸めて打ち捨てることは十分あり得ると思います。
スネイプ先生が、「要らない」とという思いを込めて、手紙を丸める姿を私は想像しています。

スネイプ先生にとって大事だったのは、やはり「愛を込めて」の文字と、それに続く「リリー」の文字の組み合わせだったように思います。
自分に向けて発せられた言葉のように感じられたのでしょうか。
そんなごまかしでいいのですか?と、この場面を見るたびに思います。
自分に向けられていない上に、手紙の定型の結びの言葉なのに。

屈託のないリリーは、訣別前にこの程度のメッセージを送らなかったのだろうか?セブルスにだけ向けた笑顔を残さなかったのだろうか?と思います。
たとえ友人としてであっても、愛に満ちた言葉をもらっていたら、セブルスは闇には向かわなかったかもしれないという気もします。
リリーと闇の魔術に関して口論した時も、互いの意見を言い合うだけで、議論は平行線を辿りました。
「親友だろう?」という問いかけに、「そうよ、セブ。でも、あなたが付き合っている人たちの、何人かが嫌いなの!」(7巻33章p.428)とリリーは返しています。
自分の友達を否定されれば、そこは弁護したくなって当然です。
この時リリーも、友人の行動を否定するのではなく、「そうよ、セブ。だから、あなたが心配なの」とか「だから、あなたが大切なの」とか言っていれば、セブルスももっと真剣にリリーの言葉に耳を傾けただろうと思います。ポッターを引き合いに出さずに自らを省みるきっかけになっかもしれません。
もちろん、闇に向かった心理を、リリーのせいだけにするつもりはありませんが、もしかしたら、少し進む道も違っていたかもしれない、と、そんな気がしています。


この時の手紙の「愛」は、たとえ定型の結びの言葉であったにせよ、スネイプ先生の支えとなったことでしょう。
笑顔で手を振る半分にちぎれたリリーの写真と共に、お守りのように身につけ、スネイプ先生は、ダンブルドアを手にかけた苦しみに耐え、ヴォルデモートの腹心を演じながらホグワーツを守ったのだと思います。

叫びの屋敷で亡くなったスネイプ先生のローブの奥には、きっとこの二つが遺されていたに違いありません。
スネイプ先生の亡骸を包むローブの奥で、写真のリリーが笑っているところを想像し、私は大きな悲しみに襲われるのです。
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