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2010-12

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信用 - 2010.12.14 Tue

次の場面では、夕暮れの校庭をダンブルドアとスネイプ先生が並んで歩きながら会話しています。

「ポッターと幾晩も密かに閉じこもって、何をなさっているのですか?」(7巻33章p.446))と聞くスネイプ先生に、ダンブルドアは、ハリーに伝えなければならない情報があると答えます。
それを聞いたスネイプ先生は「あなたはあの子を信用している……私を信用なさらない」(同)と言い、ダンブルドアは信用の問題ではないと答えました。
ではなぜ同じ情報をもらえないのかと問うスネイプ先生。
返ってきた言葉は、「すべての秘密を一つの籠に入れておきとうはない。その籠が、長時間ヴォルデモート卿の腕にぶら下がっているとなれば、なおさらじゃ」(同)で、すぐにスネイプ先生は反論しました。
「あなたの命令でやっていることです!」(7巻33章p.447)

これはあまりにも酷い言われようです。二重スパイの役割を与えておきながら、それを、情報を伝えない理由にするなんて。
確かに二重スパイの性質上、いつ計画がばれるともわからないわけで、大事な情報を簡単には伝えられないことは理解できます。
しかし、「ばれる」ということはスネイプ先生の裏切りや失敗を意味することでもあり、それを恐れるなら、スネイプ先生の人間性や能力を完全には信用していないということになります。
しかも、この時同時に、「非常によくやっておる」「ヴォルデモートに価値ある情報と見えるものを伝え、しかも肝心なことは隠しておくという芸当は、きみ以外の誰にも託せぬ仕事じゃ」(同)と言っています。
ということは、能力的な意味ではそれほど心配していない、と解釈できますから、スネイプ先生には、裏切りを想定されているように感じてしまうかもしれません。

また、ヴォルデモートに情報を知られることを懸念するなら、ハリーに伝える方がよほど危険だと考えて当然です。
スネイプ先生の言う通り、ハリーはヴォルデモートの心と直接結びつき、いつでも開心術で心を覗かれる可能性があるのですから。

ダンブルドアは、ここで魂の結びつきの話に転じてしまい(スネイプ先生には心の結びつきと説明)、スネイプ先生は話についていけません。スネイプ先生は閉心術の話をしているのに、ダンブルドアは魂の結びつきの話をしているため噛み合わないのです。
ダンブルドアが、肝心なことを伏せて話を進めるためにたびたび生じる現象だと思いますが、こんな時いつもスネイプ先生の気持ちが置き去りにされていると感じます。

スネイプ先生はまだ閉心術の話をしているのです。
となると、スネイプ先生には、閉心術を習得せずいつでも情報を覗き見られる状態のハリーに情報を託し、熟達の閉心術士であるスネイプ先生には教えないということは、「ヴォルデモートに無理矢理心を覗かれて情報を盗まれる可能性」をダンブルドアが恐れているのではなく、「情報を漏らす可能性」を恐れているように見えるのではないかと思います。
だからスネイプ先生は、「信用されていない」と感じてしまうのだと思います。
スネイプ先生が「私を信用なさらない」というのは、「私の能力を信じてくださらない」ではなく、「私の人間性を信じてくださらない」、という意味だと私は解釈しています。

本当は、ダンブルドアはスネイプ先生の人間性を信じていたと私は思うのです。
ハリーの前ではかつて何度も「スネイプ先生を信じておる」と言い切りました。そこには、スネイプ先生の人間性を信じる揺ぎ無い気持ちが表れていました。
けれど、それはスネイプ先生には伝わらなかったのだと思います。
最期まで……。
そこがとても辛いです。
スネイプ先生は寂しかったに違いありません。
一度闇の側についた身ではあるし、二重スパイという立場もあるし、誰からも信じられないスネイプ先生は、唯一人真実を知るダンブルドアにだけは、どうしても信じて欲しかったでしょう。信じられている実感が欲しかったでしょう。その実感が欲しくて「信用なさらない」と訴えたのだと思います。

ダンブルドアの頭の中は、計画の遂行のことでいっぱいで、スネイプ先生の気持ちまで気が回らなかったのでしょう。
ダンブルドアがこの場面でスネイプ先生の閉心術を高く評価したことは逆効果で、むしろ、「どんな熟達者にも起こり得る想定外のミスから情報が漏れることを恐れている」とでも言えば良かったのだと思います。
そして一言、「きみの人間性は深く信じておるのじゃよ」と添えてあげれば、信用されている実感も持てたかもしれません。
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