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2009-08

口下手 - 2009.08.31 Mon

リリーの前のセブルスは、言うこともやることも全て裏目に出ているようで、見ていてとてもはらはらします。

自分の力の正体を知らないまま魔法で無邪気に遊ぶリリーを、灌木の陰から覗いているセブルス。
その力を不思議がるペチュニアの「どうやってやるの?」という質問に、セブルスは「わかりきったことじゃないか」(7巻33章p.412)
‘It’s obvious, isn’t it?’(UK版P.533)
と、ついに堪え切れなくなって飛び出しました。
飛びたしたものの赤くなって落ち着きを失っているセブルスに、リリーが説明を促します。
セブルスは、「きみは……きみは魔女だ」(7巻33章p. 413) ‘You’re…you’re a witch,’(UK版p.533)
と答えました。

私はこの部分、知らない男の子にいきなり魔女などと突拍子もないことを言われてリリーが腹を立てたのだと思いましたが、witchには、意地悪な女、いやな女という意味があるのだと、みちえさんのブログで知りました。
初対面でいきなり、「おまえはいやな女だ」と言われたら(と思い込んだら)、誰だって怒りますね。
その後「違うんだ」(‘No!’)と言って追いかけているところを見ると、誤解されたことをセブルス自身も瞬時に理解したのだと思います。

誤解を解こうと、リリーが文字通りの魔女であること、自分の母親も魔女であること、自分自身も魔法使いであることを話すセブルス。
しかし、どうやら子どものころから「まとも」だったらしいペチュニアの前で言ったのは逆効果だったようです。
真っ赤な顔をして追いかけてきて、魔女だとか魔法使いだとか説明する男の子に対するペチュニアの不信は募ったようでした。
「マグル」発言には侮蔑的な調子もあったのでしょう。言葉の意味を知らなくても怒ったペチュニアは、リリーを引き連れて帰ってしまいました。
リリーも去り際に睨みつけていくし、第一印象は散々だったようです。

去っていく姉妹をじっと見るセブルスに、ハリーは失望を感じ取り、しばらく前からこのときのために準備をしていたことを理解します。(これはハリー視点ではありますが、スネイプ先生の死を見てからのハリーには、今までのような憎しみのフィルターがかかっていないようなので、ハリーが感じた通りだと解釈してよいのではないかと思っています)

私にとって意外だったのは、このときのために、セブルスがしばらく前から準備していたのに上手くいかなかった、ということです。
大人のスネイプ先生は用意周到というイメージが私にはあって、準備していたものが失敗に終わるとはとても思えなかったのです。

上手くいかなかったのは、子どもだったから、計画が不十分だったということでしょうか。
確かに姿を現したことを後悔していたセブルスを見ると、当初はリリーが一人の時を狙って(笑)、姿を現す計画だった可能性もあると思います。
でも計画自体に問題があるというよりは、会話のキャッチボールが上手くいっていないことに原因がある気がします。
次の記憶の場面では、ペチュニアを泣かせてリリーの怒りを買っています。本当に傷つけられたのはセブルスの方なのに、制御できなかった魔法を責められて、嘘をついて……、と全く歯車が噛みあいません。
さらに後の場面では、付き合っている友達のことでリリーと議論して、ジェームズの話題になった時も支離滅裂でした。

自分の気持ちを相手に伝えることが苦手なのだと思います。
論理的な思考の持ち主なのに、こと自分の気持ちとなると、相手にわかるように伝えられないのだと思います。特に好きな人に対しては、これほどまでに見る者をやきもきさせるほどの口下手だったとは!
でも、伝わらないとすぐに諦めてしまうのではなく、追いかけてまで説明したり、色々な言葉で説明しようとしたり、とにかく伝えようと努力していたことが各場面からわかり、強く胸を打たれました。
自分の気持ちを抑え込む人、というイメージが私にはあったのですが、自分をわかって欲しくて努力する少年だったのですね。
この努力、どこかで報われて欲しかったです。

この記憶で、ハリーが目にした苦い失望を噛みしめるセブルスの姿を、きっとリリーは知らないと思います。
後の場面での、ペチュニアを泣かせてリリーを怒らせみじめな混乱した顔で見送る姿も、『穢れた血』と発言したことをなんとか弁明しようともがく姿も。
そう思うと、他の場面でも、見えないところでスネイプ先生がどんな表情をしていたのか気になります。シリウスを逃がされて逆上して去っていった後とか、ダンブルドアの殺害の依頼を受けた後の顔とか。
その時だって気持ちを伝えようと努力していた、と今になって思います。
そしてやっぱりその努力は報われなくて。
伝わらなかった想い(あえて無視された想いも含めて)は、大人になってからも、たくさんあったのではないかと思います。
つくづく不憫です。

最初の出会い - 2009.08.22 Sat

スネイプ先生が遺した記憶の最初の場面は、遊び場でペチュアと遊ぶリリーの前に初めて姿を現した日の様子が示されていました。
でも、その前から、セブルスは一方的にリリーを知っていたと思われるいくつかの記述があります。

「きみは魔女なんだ。僕はしばらくきみのことを見ていた。」(7巻33章p.414)‘You are a witch. I’ve been watching you for a while.’ (UK版p.533)

また、ハリー視点でもこう書かれています。

~そして、スネイプがこのときのために、しばらく前から準備していたことを理解した。(7巻33章p.414)~,and understood that Snape had been planning this moment for a while, (UK版p.533)

いつからかわかりませんが、ある日リリーを知り、それからしばらく気付かれないように見ていたのだと思います(汗)

一方的な出会いの場所はやはり、この遊び場だったのでしょうか。
ここは、スピナーズ・エンドからは離れているようです。
この記憶の遊び場に立ったハリーが、煙突を遠くに見ているからです。

遠くに見える家並の上に、巨大な煙突が一本そそり立っている(7巻33章p.411)A single, huge chimney dominated the distant skyline.(UK版p.532)

distantは、距離的に(非常に)遠い(ジーニアス英語辞典)との意味があるので、結構遠くにあるのではないかと思いました。煙突が大きいから見えてはいるけれど。
一方、スピナーズエンドからは煙突は上に見えています。

あのそびえ立つような製糸工場の煙突が、巨大な人差し指が警告しているかのように、通りの上に浮かんで見える。(6巻2章p.35)~,over which the towering mill chimney seemed to hover like a giant admonitory finger.(UK版p.27)

スピナーズ・エンドから、幼いセブルスは一人でぶらぶら歩くうち、なんとなく遊び場にたどりつき、なんとなく一人で遊んでいて、偶然リリーの魔力を目にしたのでしょうか。
7巻を読むまでは、家の中に籠りっきりで本ばかり読んでいる少年を想像していたので、少し意外でした。
もっとも、これが外界への興味に因るものなら、ですが。家に居るのが嫌で、彷徨い出たのだとすると、それほど意外でもありません。

リリーもペチュニアもセブルスを初めて見たような様子でした。
最初は、セブルスが人気(ひとけ)のない遊び場で、一人で遊んでいたところに姉妹がやってきたので、慌ててこの記憶の場面のような灌木の茂みにでも隠れたのかな~などと想像しています。
どうも、誰とでも積極的に交流する子ではなかったような気がします。
隠れて見ていて、リリーの力に気付いたのではないかと思います。
見るともなしに見て気付いたというよりは、交流下手でありながらも他人への興味はあって観察していた、というのが今の私が考える幼いセブルス像です。好奇心は幼いころから強かったと思っています。

どれほど興奮したことでしょう。自分だけでなく、魔法の力を持った同じ年頃の子が居ることを知って。しかも、その魔力の強さも相当なものだと知って。このとき、初めて誰かと交流したいと思ったのではないかという気がします。

それがいつだったのか、見当もつきませんが、5巻でちらりとのぞいたスネイプ先生の記憶の中で泣いていた少年の頃 、父親と思われる鉤鼻の男が、縮こまった母親らしき女性を怒鳴りつけている部屋の隅で泣いていた頃よりは、後であって欲しいと思っています。
リリーの存在を知って以降、いがみ合う両親に心を痛めてはいても、心の支えとなるような希望の灯がともった、と思いたいので。

家庭 - 2009.08.12 Wed

スネイプ先生の記憶に入ったハリーが見た、セブルス少年の外見は、かなり具体的に描かれていました。

痩せた男の子が、(中略)じっと二人を見ていた。男の子の黒い髪は伸び放題で、服装はわざとそうしたかと思えるほど、ひどくちぐはぐだった。短すぎるジーンズに大人の男物らしいだぶだぶでみすぼらしい上着、おかしなスモックのようなシャツを着ている。(中略)せいぜい九歳か十歳のスネイプだ。顔色が悪く、小さくて筋張っている。(7巻33章p.411)
また、細い顔(thin face)という描写もありました。

気になるのは、痩せて(skinny)、顔色が悪く(sallow)、小さく(small)、筋張っている(stringy)ことです。
skinnyは、ただ痩せているというのではなく、痩せこけた、骨と皮ばかりの、という意味のようです。
sallowは、大人になってからも散々スネイプ先生を形容するのに使われた「土気色」で、だいたいが病的な顔色の悪さを指すようです。
stringyは、痩せて筋張ったということらしいです。筋張るとは、筋肉が表面に張り出るということですが、筋骨隆々というよりは、脂肪がないために筋の走行や腱や血管が見えているという状態を言っているのではないかと推察します。
9歳か10歳の子どもが骨と皮ばかりで、病的に顔色が悪くて小さいというのは、とても心配なことだと思います。

ちなみに、1巻最初のハリーも、skinny、small、thin faceなどと表されていました。同じ単語でも、日本語では「小柄でやせていた」「細面(ほそおもて)の顔」、などと表現されていましたが。
一度もお腹いっぱい食べたことがなかったと言っているハリーと似ている、あるいはそれ以上に貧弱な体形のセブルスは、同じような食生活だったのではないかと考えます。いえ、sallowがある分、性質(たち)が悪い気もします。
もっとも、その後もずっとその顔色だったので、そういう体質だったとも考えられるし、本当に何か病気を抱えていたのかもしれません。

十分な食事を与えられていなかったかのようなセブルス少年はまた、他の点でも十分構ってもらえていなかった印象があります。
髪の汚れが目立った(dirty-haired)という表現です。9歳か10歳だからそれほど脂ぎってはいなかったのかもしれませんが、dirtyという表現に不潔で汚れた様子がうかがえます。ああ。

服装のちぐはぐさについては、私は母親のアイリーンが魔女であるために生じる間違いだと考えています。ちょうど、6巻でゴーントの家を訪れたオグデンが「不慣れな魔法使いがマグルらしく見せるために選びがちなちぐはぐな服装」(6巻10章p.301)をしていたのと同じように。
貧しいためにあり合わせの服を着せたという事情もあるかもしれませんが、ダドリーのお下がりばかり着ていたハリーですら「ちぐはぐ」と感じるくらいですから、『不慣れな魔法使い』の要素はあったと思います。

とりあえずマグルと結婚しているために、男性はズボンを穿くことは知っていてジーンズを穿かせたのだと思います。そうでなければ4巻のクィディッチワールドカップを観戦する前キャンプ場で見たアーチーのように、ネグリジェなどをローブ的なものとして着せられたかもしれません。
そして、おかしなスモックこそ、アイリーンがローブ的だと妥協できるぎりぎりの選択だったのではないかという気がします。さらに、大人の男物の上着はマント的なものとして着せたのではないかと思うのです。
父親のトビアスはマグルですから当然この奇妙な格好に気づきそうですが、きっと息子への無関心から、それを指摘しなかったのだと思います。

アイリーンも特にマグルに馴染もうとしてはいなかった気がします。
だからこそ、スピナーズ・エンドから少し離れて暮らすペチュニアもスネイプという名前を知っていたのだと思います。ちょっと常識から外れた行動をする一家の名前として。
アイリーンもまた、マグル社会の中で孤立していたのだと思います。

ちぐはぐなのが魔法使い的誤りだったとしても、場面が変わっても同じ服装だったのは、構ってもらえていない証拠だと思います。次の場面では上着こそ脱いでいましたが、同じ奇妙なスモックを着ていました。
ホグワーツ特急に乗る前の服装の描写はありませんが、乗ってからの
すでに学校のローブに着替えている。たぶんあの不格好なマグルの服をいち早く脱ぎたかったのだろう(7巻33章p.423)
という描写から、プラットホームまではいつものスモックと短いジーンズを穿いていたのだと思います。
髪は伸び放題で汚れていたり、不揃いに切られていたり、大人物の服を着ていたり、いつも同じ服で季節に合っていなかったり。この描写を読むと、私はハックルベリー・フィン(母を亡くし父も行方不明のたホームレスの子)を思い出します。両親が一緒に住んでいるというのに……。
虐待と言っても過言ではないと思います。

両親は喧嘩ばかりしていたようです。それは、5巻で垣間見た過去の様子からも薄々感じられることでした。
父親が母親を怒鳴りつける部屋の片隅で泣いていたり、両親の様子をリリーに聞かれて眉間に小さな皺を寄せたりしたセブルスは、幼いころからその状態に心を痛めていたのだと思います。
家庭が、心から寛げる場所でなかった様子なのが本当に気の毒です。

十分構ってもらえず、両親の不仲に心を痛めていた幼いセブルスが、ホグワーツ(魔法界)に強い憧れを抱いていたのは、別な世界に救いを求めているようにしか見えないのが、不憫で不憫で仕方ありません。

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