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2009-07

合言葉 - 2009.07.29 Wed

叫びの屋敷を出たハリーは、城に戻り、校長室を目指します。
途中、大広間に横たえられたフレッドやルーピン、トンクスの亡骸を目撃し、自分のために死んだと激しく動揺、心を引き抜いてしまいたいと思いながらハリーは走り続けました。スネイプ先生の最後の想いが入ったクリスタルのフラスコを握りしめて。
校長室を護衛するガーゴイル像に合言葉を聞かれて、ハリーが反射的に叫んだ「ダンブルドア」は、本当に正しい合言葉でした。

ここは何度見ても胸の詰まる場面です。
合言葉に「ダンブルドア」という言葉を選んだ、スネイプ先生の胸中を思うと、息苦しくなってきます。
校長自身がこの場所を通る際に、合言葉を言う必要があったかどうか定かではありませんが、ダンブルドアが存命中、自分の好きなお菓子の名を合言葉に使っていたことを考えると、やはり校長本人も言っていたのではないかという気がします。喜んで口にしていた言葉だったのではないかと思います。


校長室の合言葉は、通常、生徒たちには知らされていないようです。
ハリーが2年生で初めて校長室に入った時はもちろん、その後4年生であてずっぽうで言ってみた時も知らなかったわけです。
6年生で個人授業を受ける際には、合言葉も知らされましたが、つまり、やたらに生徒に教えるわけにはいかない言葉だったのだと思います。
かつてマクゴナガル先生やアンブリッジが合言葉を言っている場面があったり、トレローニー先生が校長室に居た場面があったことを考えると、ダンブルドアの時代は教員は一応皆知らされていたのではないかという気がします。

でも、スネイプ先生の場合、教員全員に教えていたかどうか疑問です。
教師ではあっても死喰い人のカロー兄妹には知らせていなかったような気がします。スネイプ先生自身、あの空間を汚されるように思ったかもしれませんし、歴代の校長たちも嫌がりそうです。
もしかしたら、誰にも教えず、すべての伝達事項は職員室でのみやり取りされていたかもしれません。カロー兄弟だけに知らせないのは不自然だし、実際、スネイプ先生の真意を知る人は誰もおらず、教職員の誰とも二人だけで話すような必要はなかったでしょうから。
全てを一人で抱え込んできたのですから、むしろ誰も校長室に入れるわけにはいかなかった気がします。
そもそも、ヴォルデモートの腹心を演じるスネイプ先生が、ダンブルドア側であることがバレるような言葉を教えるはずないと思います。

でも、ダンブルドアを信頼し、ダンブルドアを心の拠り所とするハリーのような人なら、本当に中に入りたいと、この場に立った時、合言葉がわからず途方に暮れた時、一度は口にしてしまう言葉だということを、スネイプ先生はわかっていた気がします。
こんなに急に死ぬことになろうとは、スネイプ先生も計算外だったと私は考えているのですが、それでも、いつハリーや騎士団員が入ろうとしても、対応できるようになっていたのではないかという気がします。
誰にも教えずにいて、それでいて真にダンブルドアを求める者は入れるような仕組みだったと思います。

また、ホグワーツを去る日が近いと悟ってから「ダンブルドア」を合言葉にしたのではなく、校長に就任した時から変わらない言葉だったのではないかと私は考えています。でなければ、ジニーやネビルやルーナが簡単に校長室に忍び込めるはずありません。
入り方のわからなかった3人が「ダンブルドアだったら」とか「ダンブルドアの時は」などと会話して、偶然開いたのだと思います。

そして、ダンブルドアが自分の好物を合言葉に使っていたように、スネイプ先生自身もこの言葉を口にしたかったために、合言葉に決めたようにも思えます。真にダンブルドアを求める者として、心の拠り所として。
それに、ダンブルドアの死後も、何度だって声に出して呼びかけたかったのだと思います。肖像画にも面と向かっては言えない素直な気持ちで。そんな姿を想像しています。

ハリーを始めダンブルドア側にいる人の行動を考慮した上で、ダンブルドアに忠実でダンブルドアを愛する自分の想いも込めた言葉だったと私は思っています。

先へ - 2009.07.05 Sun

初めて原書で7巻32章を読んだ後、33章を読み始めるまで数日かかりました。とにかくスネイプ先生の死が辛くて、もう物語の結末など、どうでもよくなってしまったのです。

スネイプ先生が遺した物がなんであるかは、私にもわかっていました。
でも、そこにあるのは過去の幻に過ぎず、スネイプ先生の生きた姿を見られないのなら、却って虚しくなるばかりだと思いました。
それに、私が先を読み進めることは、そこにスネイプ先生の遺体を置き去りにしていくような感覚がありました。
私は、ハリーの冒険に付き合うことなく、いつまでも32章に留まって、ずっとスネイプ先生の傍に居たかったのです。
きっと、次の章でハリーたちは、スネイプ先生を置いていくでしょう。
ワームテールをマルフォイ家の地下に置いてきたように。
ついさっき、フレッドですら、置いてきた彼らですから。
ハリーは前に進むしかないのですから。
ハリー視点で見ている以上、次の章に進んだら、私もハリーと一緒にスネイプ先生の遺体を置いていかなければなりません。薄暗い叫びの屋敷の冷たい床の上に……。
そうすることは、身を切られるほど辛いと思いました。
それでも、スネイプ先生が何を考え、どんな志と苦しみを持っていたか知りたい気持ちがついに勝り、結局、続きを読み始めたわけですが。
そして、今ここで、32章から離れて、次の章に進むことも、とてもとても辛いのですが、私の中でスネイプ先生が安らかに眠るためには、先に進んでその方法を探すしかないので、進みます。


私の想像とは違い、ハリーはすぐには立ち去らず、スネイプ先生の傍らにひざまずいたまま、その顔をじっと見ていてくれました。
ヴォルデモートの声がタイムリミットを告げなければ、ハリーはもうしばらくそばに居てくれたかもしれません。それとも、結局同じタイミングでハーマイオニーが冷静に「城に戻りましょう」と声をかけ、彼らはその場を後にしたでしょうか。

この時、ハーマイオニーは、スネイプ先生の亡骸(body)をちらりと見てからトンネルの入り口に向かっています。
今までずっと、単に「スネイプ」と表現されていたのに、この時突然、「Snape's body(スネイプの亡骸)」と、物のような表現をされたことに、大きなショックを受けました。
ダンブルドアの死んだ時にも使われたこのbody という言葉が、こんなに動揺を招くとは思いませんでした。
でもまだ英語の方がマイルドでした。『亡骸』は本当にキツイです。
形はそこにあるのに、そこにいないことを改めて思い知らされました。
それでも、ハーマイオニーがちらりと見てくれたことは小さな救いでした。
ハーマイオニーは冷静に次の行動を促したけれど、後ろ髪を引かれる思いは多少なりともあったのだと感じて。

そして、ハリーも、もう一度見ています。
どう感じていいのかわからなかった。ただ、スネイプの殺され方と殺された理由とに、衝撃を受けていた……。(7巻33章p.407)
とあります。
確かに、その殺され方と殺された理由は衝撃的でしたが、ハリーは何かそれ以外にも言葉にできない思いがあったような気がします。

最期のスネイプ先生は、多分、今までハリーが見たことのないような顔をしていたと思います。
32章のスネイプ先生の最期の場面では、不思議なことに、ハリーを見つけてからのスネイプ先生の表情について触れられていません。
顔色や瞳孔(目)や喉から漏れる音や、口や耳や目から出てきたものは描写されていても、喜怒哀楽はおろか、苦悶の表情だったかどうかさえ、描かれていません。お陰で、自由に想像できます。

ハリーは、今までずっと向けられていた憎しみの表情とは違うものを見せつけられたのだと、私は思っています。
とにかく真実を伝えなければ、という必死の形相を呈していたかもしれませんが、それは、ハリーの見てきた憤怒の形相とか憎しみの顔とは違うものだったと思います。もっとも、『形相』と呼べるほど表情を変える力は残っていなかった気もしますが。
そして、最期の言葉は、命令文ではあっても、命令口調ではなかったと思います。口調も表情も哀願に近いものがあったと想像しています。
その不可解さに、ハリーは戸惑ったのではないかと思っています。
何か憐れみのような、今までとは違う軟化した感情を抱き、殺され方と殺された理由に衝撃を受けたのだと思い込もうとしている気がします。
そうであって欲しいという私の願望でもありますが。

とにかく、ハーマイオニーとハリーが、先に進む前にスネイプ先生を見てくれたことで、私は多少なりとも慰められました。
そして、スネイプ先生に心を残しながらも、彼らと共に先へ進みました。


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スネイプ先生への愛を語らずにはいられません。         

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